「HubSpotがMCPに対応したらしい。これで何でもできるんじゃないか」——SNSでそういう声を見るたびに、少し心配になります。私もMCPを実際に試したからこそ言えるのですが、できることとできないことの差がかなり大きいです。期待して使い始めたのにがっかり、という状況は避けてほしいので、正直に整理します。
結論:HubSpot MCPは「データの読み書き」は比較的得意ですが、「HubSpotの設定変更・ワークフロー操作」はほとんどできません。2026年現在、まだ発展途上です。
HubSpot MCPとは(おさらい)
MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部サービスを繋ぐ規格です。HubSpotが公式にMCPサーバーを提供することで、Claude Codeなどから自然言語でHubSpotを操作できるようになります。
設定方法は別記事(「HubSpot MCP連携のやり方」)で解説しているので、ここでは使い勝手の評価に絞ります。
できること【確認済み】
データ取得・検索系
- コンタクト検索・一覧取得:条件指定、プロパティ絞り込み、ソートなど
- 会社・商談の取得:特定レコードの詳細情報取得
- 関連レコードの取得:「この会社に紐づくコンタクトを全部出して」
- プロパティ一覧の確認:「どんなプロパティが設定されているか教えて」
- エンゲージメント(活動履歴)の取得:メール送信履歴・通話記録など
データ作成・更新系
- コンタクト・会社・商談の作成
- プロパティの更新:特定レコードの値を変更
- ノート・タスクの追加:商談に活動メモを追加
- コンタクトのオーナー変更
分析・集計系
- 簡単な集計:「ステージ別の商談件数を出して」
- 比較分析:「先月と今月のリード数を比較して」
できないこと【要注意】
これが本題です。できないことを知らずに期待すると、必ず失望します。
HubSpotの設定・構成変更
- ワークフローの作成・編集・削除
- メールテンプレートの作成・送信
- フォームの作成・変更
- パイプラインのステージ設定変更
- ダッシュボード・レポートの作成
- ユーザー権限の変更
- インテグレーションの設定
これらはHubSpotの「設定系」の操作で、APIでは一部対応していても、MCPのツールとして実装されていないことが多いです。
リアルタイム・トリガー系
- 特定のイベントが起きたときに自動で何かする(これはワークフローの仕事)
- プッシュ通知や自動メール送信のトリガー
大量データ処理
- 数万件のデータを一括処理(MCPはインタラクティブな操作向けで、バッチ処理には向かない)
使ってみた感想:「思ったより会話が自然」だが「できることが限られる」
正直な感想として、MCPを使った操作は会話の流れが自然でとても使いやすいです。「さっき出したコンタクトのうち、最終コンタクト日が古い順に並べて」といった追加指示がそのまま通るのは快適です。
ただ「HubSpotをAIで全部管理できる」という期待には全く応えられません。できることはデータの参照と限定的な更新に絞られます。
MCP vs API 直接操作、どちらを使うべきか
| 用途 | 推奨 |
|---|---|
| アドホックなデータ調査 | MCP(会話が自然) |
| 定期実行のレポート | API直接(スクリプト化が確実) |
| 大量データの一括処理 | API直接 |
| 設定変更・ワークフロー操作 | HubSpotのUIを使う(APIでも一部可能) |
| 初めてHubSpot APIを試す | MCP(設定が比較的簡単) |
限界・注意点
MCPの仕様は頻繁に変わります。 この記事を書いた時点(2026年4月)でのできること・できないことが、半年後に変わっている可能性があります。最新の公式ドキュメントを必ず確認してください。
HubSpotのMCPサーバーは現在も開発中です。 GitHubのリリースノートを見ると、定期的に新機能が追加されています。できないと思っていたことが近々できるようになる可能性もあります。
MCPを使うだけで「AI活用」した気になりやすい。 実際に業務効率が上がっているかを定期的に振り返ることが大切です。
まとめ
HubSpot MCPは「CRMデータに対してAIと自然に会話したい」という用途には非常に有効です。ただし「HubSpotの設定・自動化をAIに任せたい」という用途には現時点では対応していません。期待値を正しく設定した上で使い始めれば、実用的なツールになります。
次回予告
次回はClaude CodeとHubSpotを組み合わせた自動化の具体例を、より実践的なケーススタディ形式で紹介します。「こういう課題があって、こう解決した」という話を複数紹介します。