「HubSpotのレポートって、なんか思ったように作れないんですよね」——支援先でこの言葉をよく聞きます。私も正直、HubSpotのレポート機能に対して「痒いところに手が届かない」と感じた経験があります。ただ、使いにくさには理由があって、その理由によって解決策も変わります。
結論:HubSpotのレポートが「使いにくい」原因は、①設計の問題、②データ品質の問題、③プランの制限の問題、の3つに分類されます。 原因を特定してから対策を取ることが大切です。
HubSpotレポートの「使いにくい」3つの原因
原因1:自分が欲しいレポートが「仕様上作れない」
HubSpotのカスタムレポートビルダーは便利ですが、できないことがあります。
よくある「作れないケース」:
- 複数のオブジェクトを横断した複雑な計算(例:「リード獲得コスト」を自動計算する)
- 前年同月比の自動比較
- 特定のフィルター条件の組み合わせ(AND・OR条件が3階層以上など)
- 平均の平均(二次集計)
これはHubSpotの仕様上の制限であり、設定を変えれば解決するものではありません。解決策は後述するAPIやサードパーティのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用です。
原因2:データが正しく入力されていない
レポートが「使えない」理由として最も多いのが実はこれです。
例えば「担当者別の成約率」を出したいのに、「担当者未設定」の商談が30%あったとします。この場合、レポートが間違っているのではなく、データが間違っているのです。
よくあるデータ品質の問題:
- 必須プロパティの未入力(担当者、クローズ日、金額など)
- ステージが変更されていない(ずっと「アポ獲得」のまま)
- 同じ会社が複数の表記で登録されている(「株式会社○○」「(株)○○」など)
この場合の解決策はレポート設定ではなく、データ入力ルールの見直しとデータクレンジングです。
原因3:プランの制限
HubSpotのレポート機能はプランによって大きく差があります。
| 機能 | 無料 | Starter | Professional |
|---|---|---|---|
| 標準レポート | △制限あり | ○ | ○ |
| カスタムレポート作成 | ✗ | ✗ | ○ |
| ダッシュボード数 | 3 | 10 | 25 |
| レポートのフィルター | 基本のみ | 基本のみ | 高度なフィルター |
Starterプランではカスタムレポートが作れません。「どうやっても欲しいレポートが出せない」という場合、プランの問題である可能性があります。
解決策:原因別のアプローチ
解決策1:仕様上の制限 → APIまたはBIツールを使う
HubSpotの標準機能でできないレポートは、APIでデータを取得して外部ツールで加工します。
おすすめの組み合わせ:
- Claude Code + API:コードを書いてカスタム集計(技術的なハードルが低い)
- Google Looker Studio(無料):HubSpotのデータを可視化(接続設定が必要)
- Metabase(無料版あり):セルフサービスBIツール
私がよく使うのはClaude Code + APIです。「このレポートが欲しい」と日本語で伝えると、必要なスクリプトを書いてくれます。
解決策2:データ品質の問題 → 入力ルールの整備
レポートの前にデータの問題を解決します。具体的には:
- 必須フィールドの設定:HubSpotでプロパティを「必須」に設定する(ただしUIから変更は難しいので要確認)
- 週次のデータチェック:Claude Codeで「未入力プロパティが多いレコード」を定期抽出
- 担当者へのフィードバック:入力漏れを共有して改善を促す
解決策3:プランの制限 → アップグレードかAPIで代替
Professionalへのアップグレードが難しい場合は、APIでカスタムレポートを代替できます。費用をかけずにある程度の柔軟性を確保できます。
私が実際に作っているレポート(HubSpot標準 + API)
HubSpotの標準レポートで賄えるもの:
- パイプラインの現状(ステージ別件数・金額)
- 担当者別の商談数・成約率(大まかなもの)
- メールのオープン率・クリック率
APIで作っているもの:
- 月次の詳細成約率分析(定義込みで)
- データ品質ダッシュボード
- 複数条件のホットリード抽出
この組み合わせが、現時点の私の現実的な解です。
限界・注意点
BIツール連携は設定と維持コストがかかります。 Looker StudioやMetabaseを導入すれば柔軟性は上がりますが、設定・メンテナンスの負荷も増えます。一人運営や小規模チームでは、シンプルな解決策から始めることをお勧めします。
APIでのカスタム集計は「誰かが管理する必要がある」。 スクリプトが壊れても誰も気づかない状態にならないよう、管理ルールを決めておくことが大切です。
まとめ
HubSpotのレポートへの不満は、「設計の問題」「データの問題」「プランの問題」のどれなのかを先に切り分けることが重要です。原因によって対処法が全く異なります。まず「なぜ使いにくいと感じているのか」を自問することから始めてみてください。
次回予告
次回はHubSpotのカスタムレポートの限界について、より詳しく掘り下げます。Professional以上のプランでも「これはできない」という制限を正直にまとめます。