HubSpotのダウングレードを検討すべき状況【判断基準と注意点】

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

「HubSpot Professionalの費用対効果が感じられない。ダウングレードすべきか」——この相談を受けるたびに、私は少し慎重になります。ダウングレードは単純に「コストが下がる」だけでなく、「使えなくなる機能がある」「データへの影響がある」という側面があるからです。

結論:ダウングレード前に「失う機能のうち、実際に使っているものが何か」を必ずリストアップしてください。 使っていない機能を失っても痛くありませんが、使っている機能を失うとオペレーションが崩れます。

ダウングレードを検討すべき状況

以下のような状況では、ダウングレードを真剣に検討する価値があります。

状況1:Professionalにして1年以上経つが、ワークフローとカスタムレポートをほとんど使っていない

Professionalの主な付加価値はワークフロー自動化とカスタムレポートです。これらを使っていないなら、Starterの機能で十分な可能性が高いです。

状況2:チーム人数が減った(または担当者が退職した)

HubSpotは担当者数によってコストが変わる場合があります。また、Professionalの複雑な設定を管理できる人が抜けた場合、機能を持て余すことがあります。

状況3:APIやClaude Codeで一部の機能を代替できている

カスタムレポートをAPIで出力するようになった、ワークフローの一部をZapierに移行したなど、他の手段で代替できているならダウングレードの余地があります。

状況4:ビジネスの規模・方向性が変わった

スタートアップが事業転換した、チームが小さくなった、CRMに求めることがシンプルになったなどの場合、上位プランの機能が不要になることがあります。

ダウングレード前に必ず確認すること

チェックリスト

  1. 現在使っているワークフローの一覧を確認する

    • 設定 → 自動化 → ワークフロー でアクティブなものをリスト化
    • ダウングレード後にこれらが停止することを確認
  2. カスタムレポート・ダッシュボードの確認

    • 定期的に見ているカスタムレポートがあれば、CSVで保存するか別手段を用意
  3. シーケンスとマーケティングメールの確認

    • Professionalでのみ使えるメール機能を使っていないか確認
  4. チームへの周知

    • ダウングレードによって使えなくなる機能を事前にチームに伝える

ダウングレード時のデータへの影響

HubSpotのダウングレードで最も心配される「データ消失」について正直に書きます。

消えるもの

  • Professionalでのみ利用できる機能で作成したコンテンツ(ワークフロー、一部のカスタムレポートなど)

消えないもの

  • コンタクト・会社・商談のデータ本体:これは消えません
  • 過去のメール・活動履歴:消えません
  • カスタムプロパティのデータ:プロパティ自体は残ります

つまり「大切な顧客データが消える」ことはありません。ただし「その機能を使って設定した自動化や特定のビューが失われる」という影響があります。

ダウングレードの代替案

ダウングレードの前に検討すべき代替案もあります。

代替案1:ユーザー数の見直し

HubSpotの料金はシート数(ユーザー数)で変わることが多いです。使っていないユーザーを削除するだけでコストが下がることがあります。

代替案2:HubSpotサポートへの相談

「コストを下げたい」という相談はHubSpotのカスタマーサポートに直接してみる価値があります。特にプランの見直しや一時的な価格交渉に応じてくれることがあります(公式にはありませんが、相談することは可能です)。

代替案3:使っていない機能を棚卸しして活用する

「費用対効果が感じられない」のは「使いこなせていない」だけの可能性があります。使えていない機能を洗い出して、活用支援(自社対応または外部コンサルタント活用)を検討することも選択肢です。

ダウングレードの手順概要

  1. HubSpotにログイン
  2. 右上のアカウントアイコン → 「HubSpot管理」または「プランと価格」
  3. プランの変更オプションを確認
  4. 次回請求日の確認(月払いの場合は月末まで現プランが使えることが多い)

具体的な手順はHubSpotのサポートページや、サポートチャットで確認することをお勧めします。プランによって手順が異なります。

限界・注意点

ダウングレードは「取り消し」が面倒です。 一度ダウングレードして「やっぱりProfessionalが必要だった」となると、再アップグレード時に新規契約扱いになることがあります。データは残っていても、設定を一から作り直す必要が出ることも。

年間契約中のダウングレードは条件に注意。 年間契約中は原則として次の更新タイミングまでダウングレードできないことが多いです。契約更新のタイミングを確認してから動くことをお勧めします。

まとめ

ダウングレードは「コスト削減の手段」ですが、その前に「今の機能を本当に使っているか」を棚卸しすることが大切です。使いこなせていないのであれば、活用改善の方がROIは高いかもしれません。判断は慎重に、でも恐れすぎずに。

次回予告

次回は「HubSpotを使いこなせない本当の理由」について書きます。ツールの問題ではなく、組織やプロセスの問題であることが多いという話です。

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