HubSpot導入が失敗する7つのパターン【200社支援で見えてきた共通点】

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

「HubSpotを導入したが、半年後にほぼ使われなくなった」——この経験をした企業は、私が見てきた中でかなり多いです。失敗には共通したパターンがあります。HubSpot Japan CSMとして200社以上を支援してきた経験から、繰り返し見てきた「失敗パターン」を正直にまとめます。

結論:HubSpot導入の失敗は「ツールの問題」ではなく「プロセス・設計・文化の問題」がほとんどです。 失敗パターンを知っておくことで、事前に対策を打てます。

失敗パターン1:「とりあえず入れてみよう」から始める

最もよくある失敗の始まり方です。

典型的な流れ:

  1. 「CRMが必要だ」「HubSpotが評判いい」という話になる
  2. トライアルを登録する
  3. 設定をよくわからないまま触り始める
  4. 「思ったより難しい」「何から始めればいいかわからない」
  5. 放置される

なぜ起きるか:

HubSpotは機能が非常に多いです。ゴールを決めずに触り始めると、どこに向かっているかわからなくなります。

対策:

導入前に「最初の3ヶ月でこれができるようになる」という具体的なゴールを設定する。最初は1〜2の機能に絞ること。

失敗パターン2:外部に丸投げして自分たちで理解しない

「設定はコンサルタントに任せた」「社内のエンジニアに頼んだ」という形で導入したが、自社チームが仕組みを理解していないケースです。

典型的な問題:

  • 担当者が変わったらワークフローがなぜ動いているかわからない
  • 設定を少し変えようとしたら、どこを触ればいいかわからない
  • コンサルタントに追加費用を払い続けないと何もできない状態

対策:

外部の支援を受ける場合でも「教えてもらいながら自分でやる」スタンスを持つ。「お客様自身が自走できる状態」を目標に掲げる支援者を選ぶ。

失敗パターン3:現場を無視したトップダウン導入

「経営陣が「CRM導入」を決めて、現場に「来月からHubSpotを使ってください」と通達する」パターンです。

なぜ起きるか:

CRMの導入は経営判断として決まることが多く、現場の意見を聞くプロセスが省略されがちです。

結果:

現場担当者は「自分たちのためではなく、管理のために導入されたツール」という印象を持ち、入力を避けます。

対策:

導入の初期段階から現場の営業担当者をプロジェクトに参加させる。「どんな機能が欲しいか」「どういうフローが使いやすいか」を聞く。

失敗パターン4:設定が複雑になりすぎる

「最初から完璧なCRMを作ろう」という発想で、プロパティを大量に作り、複雑なワークフローを設定した結果、誰も全体像を把握できなくなるパターンです。

典型的なサイン:

  • プロパティが100個以上ある
  • ワークフローが20個以上アクティブになっている
  • 「このワークフローはなんのためにあるか」が説明できない

対策:

シンプルに始めて、必要に応じて追加する。最初の3ヶ月は「パイプライン管理だけ」に絞るくらいでちょうどいい。

失敗パターン5:データ移行を軽く見る

「Excelのデータを全部HubSpotに入れてから使い始めよう」という発想で、データ移行を始めたが、想定より大変で作業が止まるパターンです。

よくある問題:

  • Excelのデータに重複・表記揺れが多く、クレンジングだけで数週間かかる
  • インポートしたデータに関連付けがされていない(会社と担当者が繋がっていない)
  • 過去データを全部入れようとして、現在進行中の案件への対応が遅れる

対策:

過去データのインポートは後回しにして、今日以降の新規データから入力し始める。過去データは「どうしても必要なもの」だけに絞る。

失敗パターン6:導入後のフォローアップがない

導入時に研修をして「あとはよろしく」で終わるパターンです。

なぜ起きるか:

「導入」に集中しすぎて、「定着」のフェーズの計画を立てていない。

結果:

最初の1〜2ヶ月は使うが、3ヶ月後には入力されなくなる。

対策:

導入後3ヶ月間は月次で「使い方のレビュー会」を実施する。「困っていること」を拾い上げて設定を改善するサイクルを回す。

失敗パターン7:成果の定義をしないまま運用を続ける

「とりあえず使っている」状態が1年続いて、「HubSpotって本当に意味あるの?」という声が出始めるパターンです。

対策:

導入前に「6ヶ月後にこの指標がこうなっていれば成功」という定義を作る。例えば:

  • 「商談の見える化率(HubSpotに入力されている商談の割合)が80%以上」
  • 「週次レポートの作成時間が現在比50%削減」

数字で評価できるゴールを設定することで、成果を確認しながら改善できます。

限界・注意点

すべての失敗パターンを同時に対策しようとすると、それ自体が過負荷になります。 まず「自社はどのパターンに当てはまるか」を1〜2つに絞って対策することをお勧めします。

失敗しても遅くはありません。 今まさに「形骸化している」状態の会社でも、立て直せた例は多いです。諦める前に、根本原因の見直しをしてみてください。

まとめ

HubSpot導入の失敗パターンは、「ツールの問題」ではなく「プロセス・文化の問題」であることがほとんどです。失敗パターンを事前に知っておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。「うちも当てはまりそう」と感じたパターンがあれば、今すぐ対策を打ち始めることをお勧めします。

次回予告

次回はHubSpotのAI機能「Breeze」について、正直な評価を書きます。便利な部分とまだ発展途上な部分を率直にレビューします。

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