「HubSpotとSalesforce、どちらがいいですか?」——これは私が最も多く聞かれる質問の一つです。私はHubSpot JapanでCSMとして4年、Salesforce Japanでも営業・CS経験があり、両方を深く知っている立場です。「どちらが良い」という二項対立ではなく、「どちらが自社に合うか」を判断するための視点を提供します。
結論:2026年のAI時代においても、大企業・複雑な営業プロセス・高度なカスタマイズが必要ならSalesforce、中小・スタートアップ・自走重視・コスパ優先ならHubSpotです。 ただしAIの活用という観点では状況が変わりつつあります。
基本スペックの比較
| 項目 | HubSpot | Salesforce |
|---|---|---|
| 月額コスト(小規模) | 数千円〜数万円 | 数万円〜数十万円 |
| 導入の容易さ | 高い(UIが直感的) | 低い(学習コストが高い) |
| カスタマイズ性 | 中(制限あり) | 非常に高い |
| マーケティング連携 | 優れている(一体型) | 別製品(Marketing Cloud等) |
| API・外部連携 | 十分 | 非常に充実 |
| サポート品質 | 良い(特に日本語) | 普通(プランによる) |
HubSpotが向いている組織
1. 10〜100名規模の中小・スタートアップ
HubSpotは「使いやすさ」が設計の中心にあります。エンジニアや専任のSFDC管理者がいなくても、マーケ・営業担当者が自分でカスタマイズできる設計です。
小規模チームでSalesforceを導入すると、設定・メンテナンスに時間がかかりすぎて、本業への投資時間が削られます。
2. マーケティングと営業を一体で管理したい
HubSpotはマーケティング(コンテンツ・メール・SNS)と営業(CRM・商談管理)、カスタマーサクセスまでを一つのプラットフォームで管理できます。
「MQL(マーケティング資格済みリード)から商談化までのフローを一つのツールで管理したい」という場合、HubSpotの方が圧倒的にシンプルです。
3. まずCRMを定着させることが最優先
HubSpotは「すぐ使い始められる」設計です。初日にログインして、その日のうちにコンタクトを登録して商談を動かせます。
Salesforceはカスタマイズが強力ですが、「使える状態にするまで」に時間がかかります。「まず使いこなす」フェーズには向いていません。
Salesforceが向いている組織
1. 大企業・複雑な組織構造
Salesforceは「どんな複雑な組織構造にも対応できる」という設計思想です。複数の部門・地域・ビジネスラインが絡む場合、Salesforceの柔軟性が活きます。
2. 高度なカスタマイズが必要
「既存の業務プロセスに合わせてCRMを完全にカスタマイズしたい」という場合、SalesforceのApex(プログラミング言語)やLWC(フロントエンド開発)を使えば、ほぼ何でも実装できます。
HubSpotでこれをやろうとすると、かなり制約があります。
3. 既存の社内システムとの高度な連携が必要
ERPや会計システム、製造管理システムとの深い連携が必要な場合、Salesforceのエコシステム(パートナー・インテグレーション)の充実度は圧倒的です。
AI時代における両者の違い
ここが2026年に書く意義のある部分です。
HubSpotのAI戦略
HubSpotはBreeze(前述)を中心にAI機能を統合しています。「HubSpotを使いながらAIがアシストする」という方向性です。ただし現時点では機能が発展途上です。
Claude CodeとHubSpotの相性: 非常に良いです。HubSpotのAPIは整備されており、Claude Codeで日本語の指示を出してデータ操作・分析ができます。小規模チームがAIを使って「大きなチームと同じレベルの分析・自動化」を実現する上で、HubSpot + Claude Codeの組み合わせは強力です。
SalesforceのAI戦略
SalesforceはEinstein(アインシュタイン)というAIブランドを中心に、より早くからAI統合を進めてきました。Einstein GPTなど、生成AI機能も充実しています。
ただし高機能な分、利用するためのコストとスキルのハードルも高いです。
AI活用における正直な比較
「AIを使ってCRMを賢く活用したい」という目的に絞ると:
- HubSpot + Claude Code: 小規模チームが低コストで始めるなら最適
- Salesforce + Einstein: 大企業が既存のSalesforce環境にAIを統合するなら適切
- どちらも + 外部AI: Claude Codeのようなツールは実はどちらのCRMとも連携可能
「SalesforceからHubSpotへの移管」の実態
私が実際に複数社でこの移管を支援した経験から:
移管が成功するケース
- 「Salesforceの機能の30%しか使っていなかった」という企業
- 年間数百万円のSalesforce費用を削減したい小規模企業
- HubSpotのマーケティング機能も使いたい企業
移管が失敗・後悔するケース
- Salesforceに複雑なカスタムオブジェクト・Apexコードがある
- 他システムとのAPI連携が多い
- エンタープライズ向けの承認フローが必要
移管はコスト削減だけを目的にすると後悔することがあります。「HubSpotで自分たちのやりたいことが実現できるか」を先に確認することが重要です。
限界・注意点
この比較は2026年時点のものです。 両ツールの機能は毎年大きく変わります。特にAI機能の差は今後縮まる可能性が高いです。
私はHubSpotのコンサルタントですが、Salesforceを否定したいわけではありません。 正直に書くと、規模・ニーズ次第ではSalesforceの方が圧倒的に適しているケースがあります。両方の長所・短所を理解した上で判断してほしいというのが本音です。
まとめ
HubSpotとSalesforceの選択は「どちらが良いツールか」ではなく「自社の規模・複雑さ・ゴール・予算に何が合うか」で決まります。AI時代においても、この本質は変わりません。
「とりあえずSalesforce」「評判がいいからHubSpot」という判断ではなく、自社の現状と目指す姿から逆算して選ぶことを強くお勧めします。
次回予告
次回は「HubSpot × Claude Code」シリーズの続きとして、より実践的な活用事例を紹介していきます。「SaaSを増やすな、AIで繋げ」という思想のもと、既存ツールをAIで賢く使いこなす方法を発信し続けます。