HubSpotの導入支援を検討するとき、真っ先に気になるのが費用でしょう。実際「相場はいくらですか?」というご質問はとても多いのですが、正直に言うとこれには一律の答えがありません。
なぜかというと、費用は「どこまで支援するか(スコープ)」と「誰がやるか」という2つの要素で大きく変わるからです。Webで調べても金額がバラバラに見えるのはそのためです。
私はHubSpot Japanにてカスタマーサクセスマネージャーとして約4年、200社以上の導入・活用支援に携わってきました。独立後も多くの企業のHubSpot導入をご支援しています。その経験から、費用の決まり方と、金額以上に大事な「選び方」をお伝えします。
HubSpot導入支援の費用は大きく2タイプに分かれる
まず前提として、「導入支援」といっても内容は大きく2種類あります。この違いを理解しないと、同じ「HubSpot導入支援」という言葉でも費用感がまったく合わないという状態になります。
レクチャー型(伴走型)
お客様自身が手を動かして設定・運用することを前提に、コンサルタントが設計の判断や進め方を指南するスタイルです。
たとえば「このプロパティはどう設計すればよいか」「ステージ設計はどう考えるべきか」「このワークフローはどう組むか」といった判断を一緒に行いながら、自社チームが手を動かしていきます。
最終的な目標は「お客様が自走できる状態」にすることです。コンサルへの依存を最小化し、社内に運用ノウハウを蓄積することをゴールに置きます。
構築代行型(フルカスタム型)
データ移管・設定・構築まですべてをコンサルタント側で請け負うスタイルです。
別のCRMからのデータ移行、レポートやフォームの構築、自動化ワークフローの設定など、「完成した状態でHubSpotを渡してほしい」というニーズに応えます。
社内にHubSpotを触れる人材がいない場合や、移行するデータの量・複雑さが大きい場合に選ばれることが多いです。
レクチャー型の費用を決める要素
レクチャー型の費用は、主に以下の要素で変わります。
導入するプロダクトの種類と複雑さ
HubSpotはSales Hub、Marketing Hub、Service Hubなど複数のプロダクトで構成されています。Sales Hub単体であれば設計の複雑さは比較的シンプルですが、Marketing Hubが加わるとメール配信やリードのスコアリングなど設計すべき要素が一気に増えます。プロダクトの種類と組み合わせが、支援の深さに直結します。
支援期間と回数
「60日間・6回のミーティング」「90日間・毎週1回」など、どれだけの期間・頻度でサポートするかによって費用は変わります。立ち上げだけ支援するのか、運用が安定するまで伴走するのかで期間設計が変わります。
サポートの範囲
ミーティング以外にも、メールやチャットでの相談対応を含むかどうかで費用感が変わることがあります。都度相談できる体制があるかどうかは、実際の使い勝手に大きく影響します。
構築代行型の費用を決める要素
構築代行型は、フルカスタムで見積もられるため、費用のばらつきが特に大きくなります。主な要素は以下のとおりです。
移行元CRMの種類
SalesforceからHubSpotへの移行と、Excelや独自システムからの移行では、作業の性質がまったく異なります。移行元の仕様によって、変換・整形の手間が大きく変わります。
移行データの量・種類・複雑さ
コンタクトが数千件なのか数十万件なのか、また関連付けされたデータ(取引先と担当者の紐付け、活動履歴など)がどれだけあるかで工数が変わります。単純な件数だけでなく、データ構造の複雑さが費用を大きく左右します。
構築するマーケティング資産の数
フォーム、メールテンプレート、ランディングページ、レポートダッシュボードなどをいくつ構築するかで費用は変わります。
設定する自動化の本数
リードのステータスが変わったときに通知を飛ばす、一定期間動きのない商談にリマインドを送るといった自動化ワークフローの本数も費用に影響します。
ユーザー数・社内展開の規模
何名が使うシステムとして設計するか、全社展開時のトレーニングまで含むかどうかも要素のひとつです。
個人コンサルと大手パートナー、何が違うのか
費用の話をするとき、「個人コンサル」と「大手パートナー企業」の比較をされる方が多いです。実態をお伝えします。
レクチャー型では費用差は意外と小さい
レクチャー型では、大手パートナーと個人コンサルで費用にそれほど大きな差がないケースも少なくありません。大手だから高い、個人だから安い、という単純な話ではありません。
最大の違いは「誰が担当するか」の確実性
大手パートナー(大手広告代理店系列のHubSpotパートナーなど)の場合、会社としての信頼や体制は整っています。ただし、フロントに立つ担当者によって支援の質が変わりやすいという現実があります。HubSpotの深い知見を持つ人材が社内に何人かいたとしても、あなたのプロジェクトに誰がアサインされるかはコントロールできません。経験の浅い担当者に当たるリスクもゼロではありません。
個人コンサルの場合は、その人の実績を持つ本人が一貫して担当します。引き継ぎや担当変更がなく、最初から最後まで同じ人間が責任を持って進めます。
「高い金額を払ったのに失敗した」がなぜ起きるのか
HubSpotの導入支援市場で、まれに耳にする話があります。「費用をかけて依頼したのに期待どおりの結果にならなかった」というケースです。なぜこういうことが起きるのでしょうか。
HubSpotを本当に使いこなせる人材がまだ少ない
HubSpotが日本で急速に普及したのはここ1〜2年の話です。実際の導入支援や移行を数多く経験した人材は、市場全体でまだ多くありません。他のCRMやMAツールの経験は豊富でも、HubSpot固有の設計思想に精通していないという担当者が出てくることがあります。
「できます」と言ったことが実際にはできなかった
事業を拡大している組織では、受注を優先するあまり「それはHubSpotの設計思想に合わない要件です」と言えないケースがあります。要件定義の段階では「できます」と答えたものが、いざ構築段階に入ると実現が難しいことが判明し、期待値とのズレが生まれます。
要件定義のミスマッチ
HubSpotを導入する前段階の「何のために使うか」「どういう状態を目指すか」の定義が甘いまま進むと、構築物が完成しても「思っていたものと違う」という状態になります。技術的な問題ではなく、要件定義の段階の問題です。
費用より大事な「選ぶときに見るべきポイント」
費用は大事な判断軸ですが、それ以上に重要なことがあります。
「実際に手を動かすのが誰か」を確認する
提案や商談の場でフロントに立つ人と、実際にHubSpotを設定・構築する人が別というケースがあります。業務委託先に作業を丸投げされることも、業界では珍しくありません。
「このプロジェクトの担当者はどなたですか。その方がどれくらいの時間をこのプロジェクトに割けますか」という確認は必ずしてください。
担当者のHubSpot実績を具体的に聞く
「HubSpotの導入支援をやっています」という言葉だけでは判断できません。「実際にどういう企業のどういう規模の案件を何件やってきましたか」という具体的な実績を確認することが大切です。
個人コンサルを選ぶなら、その人自身を見る
個人コンサルに依頼するなら、その人の経歴、実績、仕事のスタンスを確認してください。会社のブランドではなく、その人自身の実力と姿勢が、そのままサービスの質になります。
まとめ
HubSpot導入支援の費用は「スコープ(レクチャー型か構築代行か)」と「担当者」の2つで決まります。
- レクチャー型は、プロダクトの種類と複雑さ、支援期間・回数、サポート範囲が費用を左右する
- 構築代行型は、データの量・複雑さ、構築物の数、自動化の本数などでフルカスタム見積もりになる
- 個人と大手の費用差は小さいことも多く、最大の違いは「誰が担当するか」の確実性
- 「高い金額を払ったのに失敗した」は、実績不足の担当者と要件定義のミスマッチで起きる
金額だけで比較するのではなく、「誰が責任を持って手を動かすか」を見極めること。それが、HubSpot導入を成功させるための一番確実な選び方です。
よくある質問
Q. HubSpot導入支援の費用相場はいくら?
支援のスコープ(レクチャー型か構築代行か)と担当者によって大きく変わるため、一律の相場はありません。レクチャー型はプロダクトの種類と構成、構築代行型は移行データの量や構築物の数で見積もりが決まります。まずはスコープを明確にした上で複数社に見積もりを取ることをおすすめします。
Q. 個人コンサルと大手パートナーで費用は違う?
レクチャー型では金額に大きな差がないケースも多いです。最大の違いは費用より「誰が担当するかの確実性」です。大手は担当者によって質がブレるリスクがあり、個人コンサルは本人が一貫して担当します。
Q. 費用を抑えるにはどうすればよい?
自走を前提としたレクチャー型を選ぶ、構築代行の範囲を絞る、などの方法があります。ただし金額だけで選ぶと、担当者の実力不足や要件定義のミスマッチで結果的にコストが高くつくことがあります。「誰がやるか」と「何をやるか」の両方を見て選ぶことが大切です。
Harekaへのご相談について
HarekaはHubSpot Japan CSMとして200社以上を支援した代表・岩間が、すべての案件を一貫して担当します。フロントに立つ人間と、実際に手を動かす人間が同じです。
導入支援の費用感や進め方について「まず話を聞いてみたい」という段階からのご相談を歓迎しています。レクチャー型・構築代行型どちらのご要望にも対応しており、状況をお伺いした上で最適なスコープをご提案します。