SalesforceからHubSpotへの移行費用と期間【元HubSpot Japan社員が解説】

SalesforceからHubSpotへの移行費用と期間【元HubSpot Japan社員が解説】

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

Salesforceのコストが重くなってきた。現場が使いこなせていない。事業規模に対してオーバースペックかもしれない——そんな理由でHubSpotへの移行を検討する企業が、ここ数年で明らかに増えています。

私はHubSpot Japanにてカスタマーサクセスマネージャーとして約4年、200社以上の導入・活用支援に携わってきました。独立後も多くの企業のHubSpot移行をご支援しており、SalesforceからHubSpotへの移管案件も複数手がけています。

この記事では、移行を検討している方が知っておくべき「費用・期間・失敗パターン・契約前の確認事項」を、現場の実体験をもとにまとめます。


なぜ今、SalesforceからHubSpotへの移行が増えているのか

相談を受けるケースを整理すると、大きく3つのパターンに分類できます。

パターン1:コストの問題

Salesforceのライセンスコストは高く、近年は値上げも続いています。それだけなら「そういうものだ」と割り切れるかもしれません。ところが多くの企業では、ライセンスコストに加えて、保守・改修のコストもかかり続けているのが実情です。

「外部ベンダーに頼んで構築してもらったはいいが、その後の改修を自分たちでできない。改修のたびにSalesforceパートナーに依頼しなければならず、そのコストが積み上がっている」——こういったご相談は非常に多いです。

ライセンスコストと維持コストのダブルパンチで、CRMにかけるコストが経営の重荷になっているケースです。

パターン2:事業規模とのミスマッチ

「なぜSalesforceを選んだのか」と聞くと、「シェアが高かったから」という答えが返ってくることがあります。確かにSalesforceは世界シェアトップクラスのCRMです。ただ、シェアが高いことと、自社のビジネスに合っていることは別の話です。

Salesforceは何でもできるが故に、設定・メンテナンスが複雑になりやすく、高コストになりがちです。「実は自社の事業にそこまで複雑なCRMは必要なかった」と、数年運用して気づくケースが少なくありません。

パターン3:HubSpotの台頭

HubSpotが日本市場で本格的に拡大してきたこの数年で、改めてCRMの選択肢を見直す動きが出ています。現場の使いやすさ、費用の透明性、スモールスタートのしやすさといった点で、HubSpotが選ばれるようになっています。

「Salesforceを使っていたが、HubSpotに移ったことで現場の入力率が上がり、データが活きるようになった」という声も複数いただいています。


移行費用は何で決まるのか

「移行費用はいくらですか?」という質問をよくいただきますが、これは一律に答えられません。費用は複数の要素で大きく変わります。

移行データの量と複雑さ

当然ですが、移行するデータの件数が多く、構造が複雑なほど費用は上がります。標準的な顧客情報・商談情報のほか、カスタムオブジェクト(例:MRR管理、契約情報の独自テーブルなど)が絡む場合は難易度が一段上がります。

他ツールとの連携範囲

SalesforceがMAツール・請求システム・カスタマーサポートツールなどと連携している場合、それらをどう扱うかで費用が変わります。HubSpot側でも同様の連携を再現するのか、この機会に連携構成を見直すのか——ここの判断が費用とスコープに大きく影響します。

マーケティングアセットの移行有無

Salesforceのマーケティング機能(Pardotなど)を使っている場合、メールテンプレート・ワークフロー・フォーム・ランディングページなどのアセットをHubSpotに移行するかどうかで、スコープが大きく変わります。複雑なワークフローが大量にある場合、その分だけ移行作業の工数も増えます。

プロジェクトに関わる人数と役割

これが費用に最も直結する要素のひとつです。プロジェクトマネージャー・設計担当・実装担当・QA担当——関わる人数が増えれば、それだけ費用が積み上がります。逆に言えば、一人の担当者が複数の役割を担える体制であれば、コストは抑えられます。

担当者のAI活用度

近年、担当者がAIを使いこなせるかどうかが、作業効率に大きな差を生んでいます。設計の段階でのプロジェクト管理から、実装段階でのAPI活用、データ処理の自動化まで——AIを積極的に活用している担当者とそうでない担当者では、同じ作業でも数倍の効率差が生まれることがあります。これは費用と期間の両方に影響します。

会社の規模と給与水準

支援会社のコスト構造も費用に影響します。規模の大きい会社は間接費(オフィス代・バックオフィスのコストなど)が大きく、それが見積もりに乗ってきます。また、担当するコンサルタントへの給与水準が低い会社は、担当者の質が下がるリスクがあります。「安さには理由がある」という点は、支援会社を選ぶうえで念頭に置いておく必要があります。


移行期間の目安

移行期間は、スコープとデータの複雑さによって大きく異なります。

一般的な目安:3〜5ヶ月

これが最もよくある移行期間です。標準的なCRM機能に加え、マーケティング機能や一部のカスタマイズが含まれる規模感を想定しています。

シンプルなケース:1〜2ヶ月

データ量が少なく、他ツールとの連携も最小限で、移行スコープが絞られている場合は、1〜2ヶ月での移行も可能です。

複雑なケース:3ヶ月以上

実際にHarekaで支援した案件のひとつでは、従業員100名以下・事業関係者50名以下の規模でありながら、Salesforce運用歴5年以上・カスタムオブジェクト(MRR管理など)を含むアドバンストな構成でした。この場合、HubSpotで同等の機能を正確に再現するだけで3ヶ月以上を要しました。

「規模が小さいから早い」とは一概に言えません。Salesforceをどう使い込んでいたか、何を移行してHubSpotで再現したいかによって、期間は大きく変わります。


移行で失敗するケース・つまずくポイント

移行プロジェクトを多く見てきた中で、特によくあるつまずきポイントを2つお伝えします。

つまずきポイント1:データ移行の進め方

データ移行は、担当者の経験と知識に大きく左右される領域です。

正しい手順・ツール・検証プロセスで進めれば、確実にデータを移せます。ところが、移行手段の選択を間違えると、想定外に時間がかかったり、データの欠落や不整合が起きたりします。「移行してみたら一部のデータが消えていた」「関連情報がバラバラになってしまった」という問題は、手順と経験の差で起きることがほとんどです。

つまずきポイント2:長期目線のない設計

これが最も多く、かつ深刻なつまずきです。

移行プロジェクト中は「お客様の要望をすべて叶えること」に注力しがちです。一見、丁寧な対応に見えます。ところが、複雑なワークフローを大量に構築した結果、少し業務が変わっただけで修正が非常に大変になり、運用が崩壊するケースが起きます。

3ヶ月のプロジェクトが終わって「よかった、移行完了」と思ったのも束の間、その後の運用コストが跳ね上がる——これが「長期目線のない設計」の末路です。

良いパートナーは、こういう視点を持っています。「この要件を今すぐ叶えることはできますが、業務が変わったときに修正しやすい設計にしておきましょう」「この機能は短期的には便利ですが、長期で見たときに運用の負担になる可能性があります」——プロジェクト終了後のことまで考えて設計してくれるパートナーかどうかが、移行成功の大きな分かれ目です。


契約前に必ず確認すべき3つのこと

実際に支援会社に相談・発注する前に、以下の3点を必ず確認してください。

1. 担当者レベルの実績を確認する

「会社としての実績」は出てきやすいです。しかし重要なのは「実際にあなたの案件を担当する人の実績」です。プロジェクトマネージャーは誰か、実装担当は誰か、その人たちはどういった案件を経験してきたか——ここまで確認することを強くおすすめします。

2. 実装方法・要件を契約前にある程度詰める

営業担当は「できます」と言いがちです。しかし、具体的な実装方法が決まっていないまま「できます」と言っているケースも少なくありません。「できる」と言ったこととその方法が一致しているかを、契約前に確認することが重要です。「どういう手法で実現しますか?」と聞いてみてください。

3. 契約前に実装担当者と直接話す機会を作る

多くの失敗事例に共通するのが、「営業担当との話と、実際の実装が一致していなかった」という点です。営業担当者がHubSpotの実装知識を持っていないケースがあり、実装担当者が不在のまま営業活動が進むと、契約後に「絵に描いた餅」になるリスクが高まります。

「実際に実装を担当する方と、事前に一度お話しできますか?」——この一言が、契約後のミスマッチを防ぐ最善の手段です。


まとめ:移行の成否は「誰が担当するか」で決まる

SalesforceからHubSpotへの移行費用・期間は、スコープと担当者次第で大きく変わります。

費用だけで判断するのは危険です。大切なのは、次の3点です。

  • 誰が責任を持って実装するか——担当者の経験と質が、移行の精度に直結する
  • 長期目線で設計してくれるか——プロジェクト終了後の運用コストまで考えてくれるか
  • 契約前に実装担当者と話せるか——営業と実装の間の認識ズレを防げるか

この3点を契約前に確認することが、移行成功の最短ルートです。


よくある質問

Q. SalesforceからHubSpotへの移行期間はどれくらいかかりますか?

A. 規模やスコープによりますが、一般的に3〜5ヶ月が目安です。データが少なくスコープが絞られているシンプルなケースでは1〜2ヶ月も可能ですが、カスタムオブジェクトや複雑な連携が絡む場合は3ヶ月以上かかることがあります。

Q. 移行費用を抑えるにはどうすればいいですか?

A. 移行スコープを明確に絞ること、そしてAI活用度の高い担当者に依頼することが有効です。ただし、安さだけで選ぶと担当者の質が下がるリスクがあります。コスト構造を理解したうえで、費用の妥当性を判断することが大切です。

Q. 移行で一番失敗しやすいポイントはどこですか?

A. データ移行の進め方と、長期目線のない設計の2点です。特に後者は、プロジェクト終了後に運用コストが跳ね上がる形で表れるため、気づいたときには手遅れになっていることがあります。「プロジェクト終了後のことまで一緒に考えてくれるか」を選定基準のひとつにしてください。


Harekaにご相談ください

HarekaではSalesforceからHubSpotへの移管支援を得意としています。代表の岩間が全案件に一貫して担当する体制を取っており、営業から設計・実装・運用支援まで担当が変わることなく最後まで関わります。

Salesforceを3年間現場で使い続けた経験と、Salesforce認定資格5つ・HubSpot Japanでのcsm経験を持つことで、「SalesforceでできていたことをHubSpotでどう再現するか」という視点で設計ができることがHarekaの強みです。

「まだ移行するかどうか迷っている」という段階からでも、ぜひご相談ください。現状のSalesforce運用を伺ったうえで、移行すべきかどうかの判断材料も含めてお伝えします。

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