営業がCRMに入力してくれない問題の原因と解決策【CRMの専門家が解説】

営業がCRMに入力してくれない問題の原因と解決策【CRMの専門家が解説】

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

「営業がCRMに入力してくれない」——これは、CRMの運用について経営者やマネージャーの方からご相談を受けるとき、最もよく聞く悩みのひとつです。

高いお金を払ってCRMを導入したのに、肝心のデータが入ってこない。何度言っても入力されない。気づけば導入前と何も変わっていない——。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。

実は、この問題の原因は驚くほどシンプルです。そして、解決策も明確に存在します。

私はキーエンス、そして外資系企業2社で営業として働いた後、HubSpot Japanのカスタマーサクセスマネージャーとして200社以上のCRM活用を支援してきました。「入力する側」と「入力させる仕組みを作る側」の両方を経験した立場から、営業がCRMに入力するようになる仕組みの作り方を解説します。


なぜ営業はCRMに入力しないのか——答えは「面倒だから」

最初に、身も蓋もない結論からお伝えします。営業がCRMに入力しない理由は、シンプルに**「面倒くさいから」**です。それ以外の理由は、ほぼありません。

「うちの営業は意識が低いのでは」「ツールが合っていないのでは」と考えたくなりますが、根っこにあるのはもっと単純な話です。営業の立場に立って考えてみると、よくわかります。

営業の仕事は「売上を上げること」

営業の仕事は、売上を上げることです。目の前のディールをクローズすること、単価を上げること、数多く成約すること。それによって評価が決まり、給料も変わります。

一方、CRMにしっかり入力したからといって、現場の営業担当者のレベルでは「クローズできるディールが増える」「成約金額が上がる」といった直接的な見返りは、ほとんど感じられません。会社全体としては大きな価値があるのですが、入力するその瞬間の営業担当者にとっては、自分の売上に直結しない作業なのです。

入力は「地味でつまらない」作業

さらに言えば、CRMへの入力は地味でつまらない作業です。

営業という仕事を選ぶ人は、ネゴシエーションが好き、人と話すことが好き、というタイプが多いものです。商談で相手の心を動かすことにはやりがいを感じても、その後にPCに向かって商談内容を打ち込む作業を楽しめる人は、まずいません。

営業はただでさえ忙しい

そして、営業は忙しい。アポ取り、商談、提案書の作成、契約対応——やるべきことは常に山積みです。その合間にCRMへの入力時間を確保しろと言われても、「後回しでいいだろう」となるのが本音です。

つまり、整理するとこうなります。営業には、「CRMに入力したい理由」がそもそも存在しない。 これが問題の正体です。


「入力しろ」と言うだけでは絶対に解決しない

原因が「入力したい理由がないから」である以上、「ちゃんと入力しろ」と繰り返し言うだけでは、絶対に解決しません。言われた直後は少し入力が増えても、しばらくすると元に戻る——このパターンを、私は何度も見てきました。

効果があるのは、精神論ではなく**「仕組み」**です。ここでは、実際に機能する2つの仕組みをご紹介します。

仕組み1:CRM入力を「仕事の一部」と明確に位置づける

まず必要なのは、「CRMへの入力は、営業の仕事のうちのひとつである」という認識を、会社として明確に打ち出すことです。

具体的には、こういう状態を作ります。CRMに入力されていない商談は、マネージャーのレポートに反映されない。経営会議の数字にも反映されない。そして最終的に、営業担当自身の成績として認められない。

「入力してもしなくても評価は同じ」という状態のまま、入力だけを求めるのは無理があります。入力が自分の評価に直結する仕組みにしない限り、入力は進みません。

仕組み2:「入力しない=やっていない」という文化を作る

ここで、私自身の経験をお話しします。

私はキーエンスと、外資系企業2社で営業をしていましたが、いずれの会社でもCRMへの入力は必ずやっていました。真面目だったから、ではありません。やらないとダメだったからです。

キーエンスでは、「CRMに入力されていないこと=起きていないこと」という認識が徹底されていました。実際に商談をしていても、CRMに入力していなければ「商談していない」ことになる。つまり、自分の評価が下がる。だから全員が入力していました。

外資系のスタートアップでは、さらに明確でした。評価者である上司が海外にいるケースでは、「CRMには入力していないけれど、ちゃんと仕事はしています」と海外の上司にアピールする方法など、存在しません。CRMに入力されていない仕事は、自分の仕事として認められない。だから、私も、他の営業も、必ず入力していました。

逆に、最悪なのは何か。CRMに入力していないのに、「商談に行ってきた」「ディールがクローズした」という口頭の報告を認めてしまうことです。これを一度でも許すと、「入力しなくても仕事として認められる」という前例ができてしまい、入力の文化は崩れます。


入力の手間そのものを減らす——自動化とAIの活用

仕組みと文化の話をしてきましたが、もうひとつの有効な打ち手があります。原因が「面倒だから」である以上、手間そのものを減らすことです。

最近の中心は、録画・文字起こし・AIの活用です。たとえばHubSpotには、ミーティングを自動で録画する機能があります。Botがオンラインミーティングに参加し、録画・文字起こしを行い、その内容をCRMに格納するところまで自動でやってくれます。営業担当者は商談に集中するだけで、商談の記録が勝手に溜まっていくのです。

ZoomやGoogle Meetとの連携も有効です。こうした自動化・AIの活用は、もはや「あれば便利」ではなく必須と言っていいレベルになっています。各種ツールの連携を活用すれば、営業がいちいち手入力しなくても情報が溜まっていく状態を、かなりの範囲で作ることができます。

ただし、ひとつ注意点があります。どれだけ自動化しても、一部は必ず手動での入力が残ります。商談の確度や次のアクションの判断など、営業本人にしか入力できない情報があるからです。「入力ゼロ」にはならない——この前提は持っておいてください。だからこそ、前述の「仕組みと文化」とセットで取り組む必要があるのです。


入力されない状態を放置するとどうなるか

「多少入力が漏れていても、売上が上がっていれば問題ないのでは」と思われるかもしれません。しかし、この状態を放置すると、確実に会社の足を引っ張ります。

まず、データが溜まらないため、営業がどんな活動をしているのかが見えなくなります。すると、目標を達成しているときも、達成していないときも、「なぜそうなったのか」がわからない。良いときの再現も、悪いときの改善もできません。

結果として、PDCAが回せず、改善のスピードが落ち、データを活用できている競合に負けていきます。営業プロセスのどこに問題があるのか、社内のボトルネックはどこか——そうした問題の特定も解決もできなくなります。

そして、さらに深刻なのはここからです。入力されない状態が長く続くほど、「CRMには入力しないもの」という文化が社内に根付いてしまいます。 一度根付いた文化を後から変えるのは、最初に正しい文化を作るより、はるかに難しい。私が支援してきた中でも、「何年も放置した入力文化を立て直す」のは最も時間のかかる仕事のひとつでした。放置の期間が長いほど、回復のコストは大きくなります。


経営者・マネージャーがまず最初にやるべきこと

では、具体的に何から始めればいいのか。最初の一歩は2つです。

1. マネージャー陣に明確なメッセージを出す

経営者がこの問題を本気で解決したいなら、まずやるべきは、マネージャー陣に明確に伝えることです。

「CRMに入力させることは、マネージャーの仕事である」「マネージャーは、必ず現場に入力させなければならない」——このメッセージを、はっきりと出してください。

現場の営業一人ひとりに直接働きかけるより、マネージャーの責任として位置づける方が、はるかに効果的です。マネージャーが「入力されていない商談は認めない」という姿勢を貫けば、現場は動きます。逆にマネージャーが口頭報告を許していれば、経営者が何を言っても入力は進みません。

2. レポーティングをCRM上に統一する

もうひとつ、よくある失敗パターンがあります。CRMは導入して使っているのに、上層部へのレポーティングは別途Excelで作っているケースです。

これをやってしまうと、どうなるか。「結局、CRMに入力しなくても、Excelさえ作れば仕事が回る」ことになります。CRMへの入力が、評価にもレポートにもつながらない「二度手間の作業」になってしまうのです。これでは入力が進むはずがありません。

解決策はシンプルです。レポーティングをCRM上に統一し、経営会議も営業会議も、CRMの数字を見て行う。そうすれば、「CRMに入力しない限り、自分の数字が会議に出てこない」状態になり、入力せざるを得なくなります。


まとめ

営業がCRMに入力しないのは、意識の問題でもツールの問題でもなく、「面倒だから」というシンプルな理由です。営業には、入力したい理由がそもそも存在しない。

だからこそ、解決策は精神論ではありません。「入力しないと評価されない・仕事として認められない」という仕組みと文化を作ること。そして、自動化とAIで「入力の手間そのもの」を減らすこと。この両輪で解決します。

最初の一歩は、マネージャー陣への明確なメッセージと、レポーティングのCRMへの統一です。この2つが揃うだけで、入力の状況は大きく変わります。


よくある質問

Q. 営業がCRMに入力しない一番の理由は何ですか?

A. シンプルに「面倒だから」です。CRMに入力しても、現場の営業担当者には「成約が増える」「金額が上がる」といった直接的な見返りがほとんど感じられず、入力自体も地味な作業のため、忙しい営業にとって「入力したい理由」がそもそも存在しないのです。

Q. 営業にCRMへ入力させるには、どうすればいいですか?

A. 「入力しない=仕事として認められない」という仕組みを作ることです。評価やレポートをCRMの数字に紐づけ、入力されていない商談は成績として認めない状態にします。加えて、自動録画・文字起こし・AIなどの自動化で入力の手間そのものを減らすことも有効です。この両輪で取り組んでください。

Q. 入力されない状態を放置すると、どうなりますか?

A. データが溜まらないため、目標達成・未達成の理由がわからず、PDCAが回せなくなります。さらに深刻なのは、放置が長引くほど「CRMには入力しない文化」が社内に根付いてしまうことです。一度根付いた文化を後から回復させるのは非常に難しく、放置の期間が長いほど立て直しのコストは大きくなります。


CRMの定着・入力文化づくりのご相談はHarekaへ

Harekaでは、HubSpotの導入・移管支援に加えて、「導入したのに使われない」「入力されない」という定着の課題にも取り組んでいます。ツールを設定して終わりではなく、お客様が自走できる状態をゴールにしているからです。

代表の岩間が全案件を一貫して担当する体制のため、仕組みの設計から現場への定着まで、担当変更なく同じ人間が伴走します。キーエンス・外資系企業で「入力する側」として働いた経験と、HubSpot Japanのカスタマーサクセスマネージャーとして200社以上の「入力させる仕組みづくり」を支援した経験の両方をもとに、貴社の状況に合った打ち手をご提案します。

「導入済みのCRMがうまく回っていない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。

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