「HubSpotを入れたけれど、使いづらい」——導入後にこのご相談をいただくことがあります。
そして話を聞くと、原因はほぼ同じところにあります。機能が足りないのではなく、多すぎて迷っているのです。これは設計の失敗ではなく、慣れの問題であることが多い。ただし一部に、慣れでは解消しない使いづらさもあります。
筆者はHubSpot JapanのカスタマーサクセスマネージャーとしてCRM導入200社以上を支援してきました。この記事では、使いづらさの正体と切り分け方、そして本当にHubSpotが合わない会社を整理します。
1. 「使いづらい」の正体
HubSpotは非常に多機能です。そして画面上にいろんな機能が一気に表示されます。
導入直後の担当者が最初に直面するのは、まさにここです。どれをクリックしたらいいか分からない。やりたいことは決まっているのに、それがどのメニューの下にあるのかが分からない。UIに慣れるまでの期間が必要で、そこからくる使いづらさがあります。
これは能力の問題ではありません。選択肢が多い道具に共通して起きることです。機能が少ないツールから移ってきた場合ほど、この落差は大きくなります。
重要なのは、この使いづらさが時間で解消する種類のものだという点です。ここを「製品が悪い」と判断してしまうと、解決しない乗り換えに向かいます。
2. 切り分け方:慣れの問題か、設計の問題か
使いづらさには2種類あります。切り分けができれば、打つ手が決まります。
慣れで解消する使いづらさ
次の症状は、慣れと環境整備で解消します。
- どこに何があるか分からない
- 同じことをするのに毎回メニューを探している
- 使っていない機能が画面を占領している
この場合、待つ必要はありません。環境の側を削れば、慣れる速度が上がります。
- 不要な機能・タブを非表示にする。 使わないものが見えているだけで、迷いは生まれます
- ビューを整理する。 現場が毎日開く画面を、必要な列と条件だけに絞る
- 入力するプロパティを絞る。 全項目を埋めさせようとすると、入力自体が止まります
やることは足し算ではなく引き算です。現場が使う画面を、その現場の業務だけが映る状態にする。 これで多くの「使いづらい」は消えます。
設計が合っていない使いづらさ
一方、次の症状は慣れでは解消しません。
- 自社の業務の流れと、データの持ち方が噛み合っていない
- 現場が入力したデータが、誰の判断にも使われていない
- 運用ルールが決まっておらず、人によって入れ方が違う
これは操作の問題ではなく、導入時の設計と運用ルールの問題です。画面を整理しても直りません。
見分け方はシンプルです。操作を教えれば解決するか、しないか。 教えても状況が変わらないなら、設計側に原因があります。
3. 使いづらさが放置されると、定着しなくなる
切り分けを先送りにすると、結末は決まっています。使われなくなります。
定着しない構造そのものは、HubSpotを導入したのに誰も使わなくなる理由と解決策で詳しく整理しています。使いづらさを感じている段階は、まだ立て直せるタイミングです。
また、そもそもHubSpotで何ができて何ができないのかが曖昧なまま運用していると、「できないこと」を無理にやろうとして使いづらさが生まれます。HubSpotでできること・できないこともあわせて確認してください。
4. 立て直した事例
使いづらさを放置して止まっていた状態から、動く状態に戻した事例です。
大手SaaSコンサルティング会社(約800名) は、契約していたHubSpotが担当者の退職で放置され、営業はExcel・マーケはGmailのBCCという状態でした。月1回・約1年半の伴走で、利用スコアを10から70まで引き上げています。
→ 放置されたHubSpotを再生――利用スコアを10→70へ
人材派遣会社 は、Marketing Hub Professional を契約済みで未活用の状態でした。約2万件のハウスリスト活用とフォローアップ体制の構築で、四半期に1件ペースで契約が生まれる状態になっています。
→ Marketing Hub再活用で契約が生まれる仕組みに
どちらも、製品を変えずに立て直しています。使いづらさの多くは、乗り換えなくても解消できるということです。
具体的な立て直しの進め方は、HubSpot再活用・定着支援のページにまとめています。
5. 本当にHubSpotが合わない会社
正直に書きます。慣れの問題でも設計の問題でもなく、そもそもCRM自体が必要ないケースがあります。
典型は、従業員が1人しかいない場合です。Starterプランは費用を抑えられるため1人会社で使うケースも多いのですが、ここは分かれ目があります。
判断軸は規模ではありません。組織として動いているかどうかです。
- 組織として動いておらず、属人化している
- かつ、その属人化に問題を抱えていない
この2つが揃っているビジネスでは、CRMを入れる理由がありません。CRMは、複数の人が同じ情報を見て、同じ基準で動くための道具だからです。組織として運営するためのルールやガバナンスを必要としないビジネスなら、無理に使わなくていい。
逆に言えば、1人であっても「情報を後から追えるようにしたい」「人を増やす予定がある」なら、入れる意味があります。人数ではなく、組織運営の必要性で決めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. HubSpotは初心者に難しいですか?
A. 最初は迷います。多機能なぶん、画面上に機能が一気に表示されるためです。ただしこれは慣れで解消する種類の使いづらさです。使わない機能やタブを非表示にし、ビューを絞ることで、慣れる速度は上がります。
Q. HubSpotの使いづらさはいつ解消しますか?
A. 操作を教えれば解決するものは、環境を整理すれば短期間で解消します。教えても状況が変わらない場合は、慣れの問題ではなく導入時の設計と運用ルールの問題です。この切り分けを先にしてください。
Q. HubSpotの機能を減らして表示できますか?
A. できます。使わない機能やタブを非表示にし、ビューを現場の業務に必要な列と条件だけに絞るのが基本です。入力するプロパティも絞ってください。全項目を埋めさせようとすると入力自体が止まります。
Q. HubSpotを使わなくていい会社はありますか?
A. あります。組織として動いておらず属人化していて、かつその属人化に問題を抱えていないビジネスです。組織運営のためのルールやガバナンスを必要としないなら、無理に使う必要はありません。判断軸は人数ではなく、組織として動いているかどうかです。
まとめ:操作を教えて解決するかどうかで切り分ける
判断軸は1行です。操作を教えれば解決するなら慣れの問題、教えても変わらないなら設計の問題。
慣れの問題なら、画面を削れば解消します。設計の問題なら、乗り換える前に設計と運用ルールを見直してください。そして組織として動いていないビジネスなら、そもそも入れなくていい。使いづらさの正体を見極めることが、最初の一歩です。
HubSpotの使いづらさでお困りなら
「慣れの問題なのか、設計から見直すべきなのか」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。
HubSpot Japan CSMとして200社以上を支援した経験を持つ代表が、初回のご相談から立て直し・定着まで一貫して担当する体制で、いまの設定と運用に照らして、現場が使える形を一緒に作ります。
お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。