リードスコアリングの設計|作り込みすぎない始め方とAI活用

リードスコアリングの設計|作り込みすぎない始め方とAI活用

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

マーケティング責任者やインサイドセールス責任者から、こういう相談を受けます。

「リードスコアリングを入れたのに、誰もスコアを見ていない」

導入時に、役職、業種、従業員規模、ページ閲覧、メール開封、資料ダウンロードと、考えられる項目に点数を付けた。ロジックは精緻になった。ところが運用が始まると、スコアが高いリードに電話しても商談にならない。インサイドセールスは次第にスコアを見なくなり、結局は自分の感覚で架電先を選ぶようになる。

筆者はHubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援してきました。この記事では、リードスコアリングが形骸化する原因と、仮置きから始める進め方、そしてこの記事の核であるAIを使ったスコアリングロジックの作り方と見直し方を書きます。


1. 形骸化する原因:最初から作り込みすぎる

スコアリングが機能しない会社の共通点は、最初からスコアリングロジックを作り込みすぎることです。

項目を増やし、点数を細かく分け、減点のルールも加える。ロジックが複雑になるほど、なぜそのスコアになっているのかが分からなくなります。

あるリードのスコアが80点だったとします。それが問い合わせをしたからなのか、役職が高いからなのか、メールを何通も開封したからなのか。誰も説明できません。説明できないスコアは信用されません。インサイドセールスは、スコアが高いのに商談にならない経験を何度かすると、スコアを見なくなります。こうして形骸化します。


2. 属性と行動、どちらを重視するか

スコアリングには、大きく2種類の要素があります。

  • 属性:役職、業種、従業員規模など、そのリードが「誰か」
  • 行動:ページ閲覧、メール開封、資料ダウンロード、問い合わせなど、そのリードが「何をしたか」

どちらを重視すべきかは、ビジネスモデルによるため、一概には決まりません。 決裁者が明確で、特定の業種・規模にしか売れない商材なら属性の比重が大きくなります。幅広い顧客に売れる商材で、検討の熱量が受注を左右するなら行動の比重が大きくなります。

大事なのは、自社のビジネスモデルで何が受注につながっているかを基準にすることです。それを確かめる方法が、次の「過去の受注データの分析」です。


3. 点数と閾値の決め方:理想と、まずやること

理想:過去の受注データから決める

理想は、過去の受注データを分析し、受注した顧客がどのようなアクションを踏んできたかに基づいて、点数や閾値を決めることです。

受注した顧客は、受注前に何をしていたのか。価格ページを見ていたのか、事例を読んでいたのか、ウェビナーに参加していたのか。受注につながったアクションに高い点数を付ければ、スコアは受注の可能性を示すものになります。

まずは仮置きで十分

ただし、最初からそれを行うのは大変です。 受注データが十分に溜まっていない会社もあります。

そこで、まずは仮置きで始めます。

アクション点数の考え方
問い合わせ最も高い点数
資料ダウンロードその次
その他の行動必要に応じて低めに

問い合わせを高得点にし、資料ダウンロードをその次にする。 最初はこの程度の設計で十分です。項目が少なければ、なぜそのスコアになっているかを誰でも説明できます。

購買シグナルとしてどんな行動を見るべきかは、失注・休眠リードを資産に変える|掘り起こしの順番と失注理由にまとめています。


4. スコアが高いのに商談化しないとき

運用を始めると、スコアが高いのに商談にならないリードが出てきます。

このときにやるべきことは、なぜそのスコアが付いているのか、ロジックを改めて見直すことです。

  • 点数の高い行動が、実は受注と関係していないのではないか
  • 特定の行動が繰り返されるだけで、点数が積み上がっていないか
  • 閾値が低すぎて、検討段階にないリードまで対象になっていないか

スコアリングは、一度作って終わりではありません。実際の商談化の結果と突き合わせて、ロジックを直し続けるものです。ロジックがシンプルであれば、どこを直せばいいかもすぐに分かります。

スコアを使ってMQLやSQLを判定する場合は、定義そのものの合意も必要です。定義の決め方はMQL・SQLの定義の決め方|揉めない合意と放置させない仕組みにまとめています。


5. 今のベストプラクティス:ロジックの構築と見直しをAIに任せる

ここが、この記事で最も伝えたいことです。

スコアリングロジックの構築は、現在はAIを活用するのがベストプラクティスです。

先ほど、理想は過去の受注データの分析だと書きました。以前は、これを人手でやるのが大変でした。受注顧客の行動履歴を1件ずつ洗い出し、共通点を探し、点数に落とす。時間も分析のスキルも必要でした。

今は、これをAIに任せられます。

  • CRMに接続されたAIを利用する:ChatGPT、ClaudeのMCPやAPI、HubSpotのBreezeなど
  • 過去の受注データから「どのアクションにスコアを付けるべきか」を分析させる
  • その分析をもとに、最適なスコアリングロジックを作成させる

仮置きで始めたスコアリングも、受注データが溜まってきた段階でAIに分析させれば、受注の実態に基づいたロジックに置き換えられます。

定期的な見直しもAIに任せる

そして、定期的な見直しもAIに任せられます。 新しい受注データが増えるたびに、どの行動が受注につながっているかを改めて分析させる。スコアが高いのに商談化しないリードの傾向を分析させる。人手ではなかなか回らなかった見直しの作業が、継続できるようになります。

最初は仮置きでシンプルに始め、ロジックの作成と見直しはAIに任せる。これが最も有効なアプローチです。

HubSpotとClaudeを組み合わせて何ができるかは、「HubSpotとClaudeを組み合わせると何ができるの?」よく聞かれるので答えますにまとめています。


6. 実際の事例

筆者がHubSpot Japan在籍時に支援した人材派遣会社では、約2万件のハウスリストに業界別の配信を行い、メールの開封やクリックといった反応があったリードに、インサイドセールスがすぐに電話やメールでフォローする仕組みを作りました。複雑なスコアリングから始めたわけではありません。反応という分かりやすい行動を起点に動く仕組みで、放置されていたハウスリストから四半期に1件ペースで契約が生まれる状態になっています。

→ Marketing Hub再活用で契約が生まれる仕組みに【人材派遣会社】

インサイドセールスがスコアを使ってリードを判定し、フィールドセールスへ渡す全体の流れは、インサイドセールスと外勤の分業|CRMで揉めない設計にまとめています。


7. やりすぎると壊れるケース:最初からロジックを作り込む

繰り返しになりますが、最初からスコアリングロジックを作り込みすぎると壊れます。

項目を増やすほど、点数の根拠は説明しにくくなります。説明できないスコアは信用されず、見られなくなります。精緻なロジックを作るために導入が遅れれば、その間の商談機会も失います。

最初は問い合わせと資料ダウンロードを軸にしたシンプルな仮置きで始めてください。ロジックを精緻にするのは、受注データが溜まってから、AIに分析させて行えば足ります。


8. やるべきケース・やりすぎると壊れるケース

スコアリングを見直すべきケース

  • スコアを設定しているが、インサイドセールスが見ていない
  • スコアが高いリードに架電しても、商談にならない
  • なぜそのスコアになっているかを、誰も説明できない

やりすぎると壊れるケース

  • 導入時に、考えられる項目すべてに点数を付けている
  • ロジックを作ったまま、一度も見直していない
  • 受注データを見ずに、感覚で点数を決め続けている

よくある質問(FAQ)

Q. リードスコアリングは、属性と行動のどちらを重視すべきですか?

A. ビジネスモデルによるため、一概には決まりません。自社のビジネスモデルで何が受注につながっているかを基準にします。過去の受注データを分析し、受注した顧客がどのような属性で、どのようなアクションを踏んできたかを確かめてください。

Q. スコアリングの点数や閾値はどう決めればいいですか?

A. 理想は、過去の受注データを分析し、受注顧客がどのようなアクションを踏んできたかに基づいて決めることです。ただし最初からそれを行うのは大変なので、まずは仮置きとして問い合わせを高得点にし、資料ダウンロードをその次にする、といった設計で十分です。

Q. スコアが高いのに商談化しないのはなぜですか?

A. スコアのロジックが、受注の実態と合っていない可能性があります。なぜそのスコアが付いているのか、ロジックを改めて見直してください。点数の高い行動が受注と関係しているか、閾値が低すぎないかを確認します。

Q. リードスコアリングにAIはどう使えますか?

A. ChatGPT、ClaudeのMCPやAPI、HubSpotのBreezeなど、CRMに接続されたAIを利用し、過去の受注データから「どのアクションにスコアを付けるべきか」を分析させ、スコアリングロジックを作成させます。定期的な見直しもAIに任せられるため、これが最も有効なアプローチです。


まとめ:仮置きで始め、AIで育てる

判断軸は1行です。スコアリングは問い合わせを軸にしたシンプルな仮置きで始め、ロジックの作成と見直しは過去の受注データをもとにAIに任せること。

作り込みすぎたスコアは、説明できなくなり、見られなくなります。シンプルに始めれば、誰でもスコアの意味を説明できます。そのうえで、受注データが溜まったらAIに分析させて育てる。これが、形骸化しないスコアリングの作り方です。


リードスコアリングの設計でお困りなら

「スコアリングを入れたが使われていない」「過去の受注データからスコアを作り直したい」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。

HubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援した代表が、初回のご相談から定着まで一貫して担当する体制で、AIを活用したスコアリングの設計と運用を一緒に作ります。

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