「まずStarterで始めて、足りなくなったら上げればいいですか」——HubSpotを検討している小規模の会社から、よくいただく質問です。
答えは「多くの場合そうです」。ただし、Starterで作れないものは最初から決まっています。 そこに自社の必須要件が入っていないかを、契約前に確認しておく必要があります。
筆者はHubSpot JapanのカスタマーサクセスマネージャーとしてCRM導入200社以上を支援してきました。この記事では、Starterでできること・できないことを整理し、Starterで十分な会社の線引きを書きます。
1. Starterでできること
まずできることから。想像より広いです。
基本的なオブジェクトが使える
コンタクト(人)、会社、取引(案件)、チケット(問い合わせ) という、顧客管理の基本となるオブジェクトが使えます。製品やプロジェクトのオブジェクトも利用できます。
つまり、誰が・どの会社の・どの案件に関わっていて・どんな問い合わせが来ているか、という顧客管理の骨格はStarterで作れます。ここが押さえられている点は重要です。
マーケティングメールの一斉送信
マーケティングメールの一斉送信ができます。 顧客リストに向けた案内やメルマガを、CRMのデータを使って送れるということです。
Gmailの一斉送信やBCCで運用している会社にとっては、これだけでも移る理由になります。誰に何を送ったかが顧客データに紐づくからです。
フォームの作成
フォームが作れます。 問い合わせフォームや資料請求フォームを作成し、送信された内容をそのままCRMに蓄積できます。
簡単なランディングページ・ウェブサイトページ
簡単なランディングページやウェブサイトページの作成ができます。キャンペーン用のページを1枚作る、といった用途であれば対応できます。
営業・サポート業務を便利にする各種機能
日程調整リンク、簡単なドキュメント機能など、日々の営業・サポート業務を便利にする機能群が使えます。
日程調整のメール往復がなくなる、送った資料が開かれたか分かる——こうした細かい効率化は、少人数の組織ほど効いてきます。
2. Starterでできないこと
次にできないこと。3つあります。
カスタムオブジェクトの作成
カスタムオブジェクトは作れません。 標準で用意されているオブジェクト以外に、自社独自のデータのまとまりを定義することができないということです。
つまり、自社の業務やデータ管理に合わせたカスタマイズは難しくなります。 標準の型に自社の業務を合わせる形になります。
レポートをゼロから作成すること
レポートをゼロから作ることはできません。 用意されているテンプレート以外は作れないため、自社に合わせたKPI確認用のレポートは作れないということです。
ここはStarterで最も制約を感じやすい部分です。独自の指標で数字を追いたい会社は、この時点でProfessional以上が視野に入ります。
独自のワークフロー構築
独自のワークフローは組めません。 ごくシンプルなものは作れますが、自社の業務フローに合わせた独自の自動化を構築することはできません。
「この条件のときにこう動く」という自社ルールを自動化したいなら、上位プランが必要になります。
3. 線引き:Starterで十分な会社
整理します。本当にシンプルなCRM活用とメールの一斉送信くらいであれば、Starterで十分です。
具体的には、次の状態に当てはまる会社です。
- 顧客・会社・案件を記録して、後から追えるようにしたい
- 問い合わせを取りこぼさないようにしたい
- 顧客リストにメールを一斉送信したい
- フォームからの問い合わせをそのままデータに溜めたい
この範囲であれば、Starterで成立します。上位プランに上げる必要はありません。
逆に、次のどれかが必須要件なら、最初からProfessional以上を検討してください。
- 自社独自のKPIでレポートを見たい(ゼロからのレポート作成が必要)
- 業務フローに合わせた自動化を組みたい(独自ワークフローが必要)
- 標準オブジェクトでは表せないデータを管理したい(カスタムオブジェクトが必要)
上位プランに何を払うのかという論点は、Data Hub Proは必要か|カスタムコードの価値を再検証でも整理しています。HubSpot全体で何ができて何ができないかは、HubSpotでできること・できないことを参照してください。
4. 実際の事例
Starterで実際に立ち上げた事例です。
エイチリンク株式会社(SEO対策・LLMO対策・Webマーケティング)は、Gmail と WordPressフォームで運用しており、顧客データベースがない状態でした。設定の複雑さで止まっていたHubSpot Starterの導入を、2ヶ月で稼働まで伴走。Gmailに散在した顧客情報を一元化し、問い合わせ前のページ閲覧履歴まで可視化しています。
→ Gmailの顧客管理をHubSpot Starterへ――2ヶ月でCRM稼働
この事例が示すのは、Starterの制約より先に、導入設定でつまずく会社が多いということです。プランの上下より、まず立ち上げきることが先になります。
5. いつProfessionalに上げるか
判断のタイミングは決まっています。セクション2の「できないこと」が、業務の障害になったときです。
- レポートをテンプレートで代用できなくなった
- 手作業で回している定型処理が、無視できない工数になった
- 標準オブジェクトに無理やり押し込んでいるデータが出てきた
この3つのどれかが起きたら、そこが切り替えどきです。逆に起きていないなら、上げる必要はありません。 「将来必要になりそうだから」で上位プランを契約すると、使わない機能に払い続けることになります。
よくある質問(FAQ)
Q. HubSpot Starterで営業管理はできますか?
A. できます。コンタクト・会社・取引・チケットという基本オブジェクトが使えるため、顧客管理と案件管理の骨格は作れます。日程調整リンクやドキュメント機能も使えます。
Q. HubSpot Starterでレポートは作れますか?
A. 用意されているテンプレートは使えますが、ゼロから作ることはできません。自社に合わせたKPI確認用のレポートが必要なら、Professional以上が必要になります。
Q. いつProfessionalに上げるべきですか?
A. レポートをテンプレートで代用できなくなったとき、手作業の定型処理が無視できない工数になったとき、標準オブジェクトに押し込めないデータが出てきたときです。この3つが起きていないなら、上げる必要はありません。
Q. HubSpot Starterで十分な会社はどんな会社ですか?
A. 本当にシンプルなCRM活用とメールの一斉送信が中心の会社です。顧客と案件を記録して追えるようにし、問い合わせを取りこぼさず、リストにメールを送る。この範囲ならStarterで成立します。
まとめ:レポートと自動化が要るかどうか
Starterで足りるかどうかは、1行で判断できます。自社独自のレポートと、自社独自の自動化が必要かどうか。
必要ないなら、Starterで十分です。顧客管理の骨格もメール配信もフォームも揃っています。必要になったら、そのときに上げてください。先回りして払う理由はありません。
HubSpotのプラン選定でお困りなら
「Starterで足りるのか、最初からProfessionalにすべきか」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。
HubSpot Japan CSMとして200社以上を支援した経験を持つ代表が、初回のご相談から導入・定着まで一貫して担当する体制で、自社の要件に照らして必要なプランを一緒に見極めます。
結論が「Starterで十分です」になることも含めて、フェアにお答えします。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。