ZohoからHubSpotへの移行相談で、最初にお伝えすることがあります。
コストは上がる可能性があります。
ここを曖昧にしたまま進めると、後で必ず揉めます。だから先に置いておきます。そのうえで、それでも移る理由が何なのかを整理するのが、この記事の趣旨です。
筆者はHubSpot JapanのカスタマーサクセスマネージャーとしてCRM導入200社以上を支援してきました。HubSpot側の人間ですが、Zohoの強みは強みとして正確に書きます。
1. 前提:Zohoは安く、カスタマイズ性が高い
まず事実から。Zohoは非常にカスタマイズ性が高く、かつ安いツールです。
この2つは、CRM選定において強力な組み合わせです。予算を抑えながら、自社の業務に合わせて作り込める。だからこそ多くの会社が選んでいます。
したがって、移行によってコストが上がる可能性があります。 これは製品の優劣ではなく、価格帯の違いです。コストだけを判断軸に置くなら、Zohoから移る理由はありません。
移行を検討する理由は、コスト以外のところにあります。
Salesforce・HubSpot・Zohoという3製品の思想の違いそのものについては、SalesforceとHubSpotとZohoを比較で整理しています。選定の段階にいるなら、先にこちらを読んでください。
2. 難所:独自のカスタマイズ
移行作業で重くなるのは、Zohoの強みがそのまま裏返る部分です。
カスタマイズ性が高い分、独自のカスタマイズが入っているケースでは移行が難しくなります。
自社の業務に合わせて項目を追加し、画面を組み替え、処理を作り込んできた。その作り込みが深いほど、移行時に「これはHubSpotでどう再現するのか」という論点が増えます。
そして重要なのは、すべてが同じ形で再現できるとは限らないということです。HubSpotは決まった型を持つ製品なので、型のない作り込みをそのまま引き受けることはできません。
だから移行計画では、作業の前に確認が入ります。いま入っているカスタマイズのうち、業務に不可欠なものはどれか。 ここを棚卸ししないまま進めると、カットオーバー後に「あの処理がない」という事態になります。
3. 得られるもの
コストが上がる可能性があるなかで、移行によって得られるものは明確です。2つあります。
使いやすさは格段に上がる
使いやすさは格段に上がります。 ここが最大の差です。
現場が毎日触るものなので、この差はそのまま入力率に表れます。入力されないCRMは、どれだけ安くても価値を生みません。逆に、使われるCRMであれば、上がったコストは回収の対象になります。
データが非常に扱いやすくなる
データも非常に扱いやすくなります。 蓄積されたデータをレポートで見る、セグメントを切ってメールを送る、営業の次の一手につなげる——この一連が滑らかに回ります。
データを溜めること自体が目的ではありません。溜めたデータが次の行動につながるかどうかが問われます。ここが軽くなることの効果は、運用が長くなるほど効いてきます。
4. 移行作業の進め方
作り込みの棚卸しが終われば、あとはデータを移す工程です。
CRMからCRMへの移行は、構造が近いぶん進めやすい部類に入ります。実際、アプリ開発企業(従業員約100名) の事例では、Salesforceからの移行で数十万件のデータを欠損ゼロで移しながら、同じ期間内に売上管理の構造再設計まで行っています。移行元は違っても、進め方の型は共通します。
→ Salesforce移行で入力作業を12分の1に――AI活用のCRM再設計
移行の具体的な方法は、HubSpotへのデータ移行の進め方で3つの方法と自力でやれる範囲を整理しています。
要件定義から設計・移行・定着までを外部に任せる場合の進め方は、SalesforceからHubSpotへの移行支援のページをご覧ください。移行元がZohoでも、工程の考え方は同じです。
5. 見送るべきケース
正直に書きます。どうしても安さを求める会社は、Zohoのままでいいです。
これは妥協案ではなく、正しい判断です。CRMに求めるものがコスト効率であり、現在それが満たされているなら、変える理由がありません。
判断軸を整理します。
- コストが最優先 → Zohoのまま。 移行はコスト増を招く可能性がある
- 現場に使われることが最優先 → HubSpotを検討する価値がある。 使いやすさの差が入力率に直結する
- 独自カスタマイズに業務が依存している → 慎重に。 再現できるかの確認が先
つまり、移行の可否は機能比較では決まりません。何を最優先に置いているかで決まります。
よくある質問(FAQ)
Q. ZohoからHubSpotに移行するとコストは上がりますか?
A. 上がる可能性があります。Zohoは安さとカスタマイズ性が強みの製品なので、価格帯の差は前提として置いてください。そのうえで、使いやすさとデータの扱いやすさが上がることに対して投資する判断になります。
Q. Zohoのカスタマイズはそのまま引き継げますか?
A. すべてが同じ形で再現できるとは限りません。HubSpotは決まった型を持つ製品のため、作り込みが深いほど再現の検証が必要になります。移行前に、業務に不可欠なカスタマイズがどれかを棚卸ししてください。
Q. ZohoからHubSpotへのデータ移行はどうやりますか?
A. CSVファイル、アプリ連携、APIの3つの方法があります。CRMからCRMへの移行は構造が近いぶん進めやすい部類ですが、独自項目が多いほど事前の設計が重くなります。
Q. Zohoのままでいい会社はどんな会社ですか?
A. コストを最優先に置いている会社です。CRMに求めるものが価格効率であり、いまそれが満たされているなら変える理由はありません。移行を検討すべきなのは、現場に使われることを優先したい場合です。
まとめ:判断軸は「コストか、使われることか」
1行で言い切ります。コストが最優先ならZohoのまま、現場に使われることが最優先ならHubSpotを検討する。
Zohoは安くてカスタマイズ性が高い、優れたツールです。移行によってコストは上がる可能性があります。それでも移る価値があるのは、使いやすさとデータの扱いやすさが、運用の質をそのまま変えるからです。
自社が何を最優先に置いているかから逆算してください。機能比較表の丸バツでは答えは出ません。
ZohoからHubSpotへの移行をご検討なら
「うちのカスタマイズで移行できるのか」「コストが上がってでも移る価値があるのか」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。
HubSpot Japan CSMとして200社以上を支援した経験を持つ代表が、初回のご相談から移行・定着まで一貫して担当する体制で、現在のZohoの作り込みに照らした移行の可否を一緒に見極めます。
結論が「Zohoのままで大丈夫です」になることも含めて、フェアにお答えします。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。