Salesforceを解約する前に必ずやること|1ユーザー残す理由

Salesforceを解約する前に必ずやること|1ユーザー残す理由

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

SalesforceからHubSpotへの移行が終わりに近づくと、必ずこう聞かれます。

「Salesforceは、いつ解約すればいいですか」

移行の目的がコスト削減なら、1日でも早く解約したくなるのは当然です。しかし、解約は移行の最後の工程であり、最も取り返しがつかない工程です。急ぐ理由はありません。

筆者はHubSpot JapanのカスタマーサクセスマネージャーとしてCRM導入200社以上を支援してきました。この記事では、Salesforceを解約する前に必ずやるべき3つのことと、全解約をせずに1ユーザーライセンスだけ残すべき理由を書きます。


1. 解約前に必ずやること:3つ

その1:HubSpotで仕事が回ることを確認する

最初にやるべきことは、次の2点の確認です。

  • 全てのデータがHubSpotに入っているか
  • そもそもHubSpotで、ちゃんと仕事が回るのか

データが入っていることと、仕事が回ることは別です。営業は毎日の商談管理をHubSpotで完結できているか。サポートは問い合わせ対応を止めずに回せているか。月次の数字はHubSpotのレポートで出せているか。

「しっかり回る」と確認できてから、ゆっくり解約を進めてください。 ギリギリの解約は避けるべきです。移行直後は、Salesforceで当たり前にできていたことがHubSpotでできていない、という発見が必ず出てきます。そのとき、元のデータや設定を確認できる状態を残しておく必要があります。

その2:データのバックアップをしっかり取る

2つ目は、データのバックアップです。

HubSpotに移したデータとは別に、Salesforceのデータを丸ごと手元に残しておきます。移行対象から外したデータ、移行時に加工したデータの元の形、活動履歴など、HubSpotには入っていないものも含めてです。

移行の段階では「移さない」と判断したデータが、後になって必要になることはあります。監査、訴訟、過去の契約条件の確認。そのときにバックアップがなければ、もう取り戻せません。

その3:契約を1アカウント(1ユーザーライセンス)だけ残して解約する

3つ目が、この記事の核です。全解約はせず、1アカウント(1ユーザーライセンス)だけ残して解約します。


2. なぜ1ユーザー残すのか

全解約はしない方がいい。 これが筆者の結論です。実際、全解約する人は少なく、1アカウントだけ残す形が多くなります。

理由はシンプルです。1ユーザーライセンスだけでも残っていれば、過去データや設定の確認ができます。

  • 「Salesforceでは、この項目はどういう計算式だったか」
  • 「この取引先との過去の商談で、どんな条件を提示していたか」
  • 「この自動化は、どういう条件で動いていたか」

移行後しばらくは、こうした確認が必ず発生します。バックアップしたデータは「中身」は残せても、Salesforce上での設定や、画面での見え方、項目同士の関係までは再現しにくいものです。1ユーザー分残っていれば、ログインして実際の画面で確認できます。

それが保険になります。 全ユーザー分の費用を払い続けるのではなく、1ユーザー分の費用で「いつでも元の環境を確認できる」状態を買う、ということです。


3. 並行運用の期間:少なくとも半年

並行運用そのものは長くなくていい

誤解されやすいのですが、SalesforceとHubSpotの両方で業務を回す並行運用は、そこまで長くなくていいです。二重入力は現場の負担になり、どちらが正しいデータか分からなくなります。業務はHubSpotに切り替え、Salesforceは確認用として残す、という形です。

1ユーザー残して、半年〜1年様子を見る

そのうえで、1アカウント残した状態で、半年〜1年、少なくとも半年ほど様子を見ながら運用します。

半年あれば、四半期の締めを2回経験できます。月次・四半期のレポート、期末の処理、年に数回しか発生しない業務。これらをHubSpotで一通り回し、Salesforceを見に行く必要がなくなったことを確認してから、最後の1ユーザーライセンスを解約します。

更新日と解約通知の期限を確認しておく

Salesforceの契約は年間契約で、自動更新です。更新日の前に、解約通知の期限を確認しておく必要があります。 期限を過ぎると、全ユーザー分がそのまま更新されてしまいます。

移行プロジェクトの計画を立てる段階で、契約の更新日と、ユーザーライセンス数を減らす通知の期限を必ず確認してください。移行のスケジュールは、この日付から逆算して組むのが確実です。


4. 実際の事例

筆者が支援した企業では、製造業向けソフトウェアのコンサルティング会社(従業員200名以上)が、Salesforceの契約満了をきっかけに、Service CloudからHubSpot Service Hubへ移行しました。60日間・全6回の支援で、Salesforceで行っていた業務をHubSpotで問題なく再現し、年間ライセンス費用の約50%削減を見込んでいます。

→ SalesforceからHubSpotへ――60日でライセンス費用50%削減

アプリ開発企業(従業員約100名)の移行では、契約満了という動かせない期限に対し、数十万件のデータを欠損ゼロで移し、売上金額がSalesforce側と完全一致することを検証してからカットオーバーしています。「数字が一致している」と示せることで、切り替えの判断ができました。

→ Salesforce移行で入力作業を12分の1に――AI活用のCRM再設計

どちらも、契約満了日が移行の起点になっています。解約のタイミングは、移行の最初から計画に入れておくものです。


5. 早めに解約していいケース・慎重にすべきケース

1ユーザーライセンスの保持期間を短くしていいケース

  • 移行したデータが少なく、構造もシンプル:確認することがほとんど発生しない
  • 全データのバックアップを取り、移行後の検証も完了している
  • Salesforceで複雑な自動化や計算式を使っていなかった

慎重にすべきケース

  • Salesforceで長年運用し、カスタマイズが多い:設定の確認が頻繁に発生する
  • 年に数回しか発生しない業務がある:期末処理、年次の契約更新など、一巡するまで確認できない
  • 監査や法令で過去データの保管が求められる:保管方法を確定させるまで解約しない

よくある質問(FAQ)

Q. HubSpotに移行した後、Salesforceはいつ解約すべきですか?

A. 全てのデータがHubSpotに入り、HubSpotで仕事が回ることを確認できてから、ゆっくり進めてください。ギリギリの解約は避けるべきです。そのうえで1ユーザーライセンスだけ残し、少なくとも半年ほど様子を見てから最後の1ユーザーライセンスを解約します。契約の更新日と解約通知の期限は、移行計画の段階で確認しておいてください。

Q. Salesforceは全解約していいですか?

A. 全解約はしない方がいいです。1アカウント(1ユーザーライセンス)だけ残しておけば、過去データや設定をSalesforceの画面で確認できます。バックアップでは再現しにくい設定や項目同士の関係を確認できることが、移行後の保険になります。

Q. SalesforceとHubSpotの並行運用は何ヶ月必要ですか?

A. 両方で業務を回す並行運用は、長くなくていいです。業務はHubSpotに切り替え、Salesforceは1ユーザーライセンスを確認用に残す形にします。その状態で半年〜1年、少なくとも半年ほど様子を見るのが目安です。

Q. Salesforceを解約した後、過去のデータは見られますか?

A. 全解約すると、Salesforce上で過去のデータや設定を確認することはできなくなります。だからこそ、解約前にデータのバックアップをしっかり取り、1ユーザーライセンスを残して確認できる状態を保っておくことを勧めます。


まとめ:解約は、回ることを確認してから

判断軸は1行です。HubSpotで仕事が回ると確認できるまで、Salesforceへの入り口を1つ残しておくこと。

バックアップを取り、1ユーザーライセンスだけ残し、少なくとも半年様子を見る。1ユーザー分の費用は、移行後に「確認できない」事態を防ぐための保険です。

移行全体の進め方と費用の考え方はSalesforceからHubSpotへ移行|費用・期間と進め方に、移行前に確認すべき項目はSalesforceからHubSpotへの移行前チェックリストにまとめています。そもそも移行すべきかを迷っている段階なら、Salesforceが高い・複雑と感じたら考えるべき乗り換えの判断基準から読んでください。


Salesforceからの移行・解約をご検討なら

「いつ解約すればいいか」「移行後に何を確認しておくべきか」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。

HubSpot Japan CSMとして200社以上を支援した経験を持つ代表が、初回のご相談から移行・定着まで一貫して担当する体制で、契約の更新日から逆算した移行と解約の計画を一緒に作ります。

実際の支援内容はSalesforceからHubSpotへの移行支援のページをご覧ください。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。

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