営業の行動量をCRMでどこまで管理するか|空報を防ぐ線

営業の行動量をCRMでどこまで管理するか|空報を防ぐ線

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

営業マネージャーや営業企画の方から、こう聞かれることがあります。

「営業の行動量は、CRMでどこまで管理すべきですか」

結論から書きます。できる限りトラッキングするのが望ましいです。

コール数、ミーティング数、商談件数はもちろん、可能なら商談の時間や商談内容、案件の確度まで追います。

筆者はHubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援してきました。この記事では、行動量をどこまで追うべきか、そして追いすぎたときに起きる「空報」と、その防ぎ方を書きます。


1. 追うべき項目:できる限り細かく

追うべき項目を、粒度の粗い順に並べます。

  • コール数
  • ミーティング数
  • 商談件数
  • 商談の時間
  • 商談内容(どの商品を、どこまで紹介したか)
  • 案件の確度

上の3つは、どの会社でも追うべき項目です。下の3つは、可能であれば追います。

参考:新卒時に経験した営業組織の管理

筆者は新卒時にキーエンスで営業を経験しました。その営業組織では、商談の時間、商談内容(どの商品をどこまで紹介したか)、案件の確度まで、数値として細かくトラッキングしていました。

行動が数値で残るので、成果が出たときも出なかったときも、どの行動がどう結果につながったのかを振り返れます。

CRMでそれを再現したい企業には、行動量・ミーティング数・商談ステージなどを、可能な限り追うよう提案しています。商談ステージの設計については、商談ステージの設計|主観をなくす条件と増やしすぎない線にまとめています。


2. 管理しなさすぎのリスク

行動量を管理することに、抵抗を感じる会社もあります。細かく管理すると、営業が嫌がるのではないか。

しかし、管理をしなさすぎて状況を把握できなくなった例は、日本中に数多くあります。

行動が見えない組織では、結果が出なかったときに原因を特定できません。 商談数が足りなかったのか、ミーティングの数が足りなかったのか、それとも商談の中身に問題があったのか。行動の記録がなければ、どこに手を打てばいいのかが分かりません。

マネージャーが毎週見る数字のうち、4つ目が手元のアクション数です。コール数やミーティング数は、商談を生む手前の数字です。詳しくは営業マネージャーが毎週見る数字|4つで足りる理由に書いています。


3. やりすぎると壊れるケース:空報

ここが、この記事で最も伝えたいことです。

行動量を管理しすぎると、数字合わせに走り、空報(フェイクの情報)を入力するケースがゼロではありません。

行動量に目標があり、その数字で評価される。そうなると、実際には行っていない訪問や、かけていない電話が記録されることがあります。数字は揃っているのに、実態が伴っていない。これでは、細かく追った意味がなくなります。


4. 空報への対策:お客様側の事実と照合する

では、空報をどう防ぐか。一例を挙げます。

新卒時に在籍した営業組織には、上司が定期的にお客様へ電話をかける仕組みがありました。名目は感謝の挨拶です。その電話の中で、「営業の誰々が、何時に訪問していましたよね」と確認します。

そこで「来ていないよ」となれば、空報が判明します。

そこまでやる必要はありません。ただ、この仕組みが示しているのは、行動の記録がお客様側の事実と照合される仕組みがあると、数字合わせは起きにくいということです。記録と事実が突き合わされる可能性があるだけで、記録の正確さは変わります。


5. 実際の事例

筆者が支援した企業では、製造業向けソフトウェアのコンサルティング会社(従業員200名以上)が、Salesforce Service CloudからHubSpot Service Hubへ移行しました。60日間・全6回の支援で、テンプレートレポートの活用からカスタムレポートの作成方法までをレクチャーし、記録された活動を数字で把握できる状態を作っています。

→ SalesforceからHubSpotへ――60日でライセンス費用50%削減


6. 結論:まず追う。空報が出たら、照合の仕組みを足す

管理しすぎのリスクより、管理しなさすぎのリスクの方が圧倒的に多いです。

だから、順番はこうです。

  1. まずは追う:コール数、ミーティング数、商談件数から始め、可能なら商談の時間・内容・確度まで
  2. 空報が出たら、照合の仕組みを足す:行動の記録が、お客様側の事実と突き合わされる状態を作る

空報を恐れて最初から追わないのは、順番が逆です。追わなければ、空報どころか何も分かりません。

行動量を記録してもらうには、入力する理由を作る必要もあります。営業がCRMに入力する理由を作る|日報と報告をなくす設計も合わせて読んでください。


7. やるべきこと・やりすぎると壊れるケース

やるべきこと

  • コール数、ミーティング数、商談件数を追う
  • 可能なら、商談の時間・商談内容・案件の確度まで追う
  • 結果が出なかったとき、行動の記録から原因を探す

やりすぎると壊れるケース

  • 行動量の数字だけで評価し、数字合わせを招く
  • 記録がお客様側の事実と照合されない状態のまま、行動量の目標だけを上げる

よくある質問(FAQ)

Q. 営業のコール数まで管理すべきですか?

A. 管理すべきです。コール数、ミーティング数、商談件数はどの会社でも追う項目です。行動が見えない組織では、結果が出なかったときに原因を特定できません。管理しすぎのリスクより、管理しなさすぎのリスクの方が圧倒的に多いです。

Q. 行動量と成果が一致しないときはどうすればいいですか?

A. 行動の中身まで追っているかを確認してください。コール数やミーティング数だけでなく、可能なら商談の時間、商談内容(どの商品をどこまで紹介したか)、案件の確度まで追うと、どの行動が成果につながっていないのかを特定しやすくなります。

Q. 営業の空報を防ぐにはどうすればいいですか?

A. 行動の記録が、お客様側の事実と照合される仕組みを作ります。筆者が新卒時に在籍した営業組織では、上司が感謝の挨拶という名目でお客様に電話をかけ、訪問の事実を確認していました。そこまでやる必要はありませんが、照合される仕組みがあると数字合わせは起きにくくなります。

Q. 営業の行動量の目標はどう決めればいいですか?

A. 商談数から逆算します。目標との差分とコンバージョンレートから必要な商談数を出し、その商談を生むために必要なコール数やミーティング数を置きます。そのうえで、行動量の数字だけで評価して数字合わせを招かないよう、記録と事実が照合される仕組みも合わせて作ってください。


まとめ:まず追い、照合で守る

判断軸は1行です。行動量はできる限り追い、空報が出たら照合の仕組みを足すこと。

管理しなさすぎた組織は、結果が出なかったときに原因を特定できません。空報のリスクはゼロではありませんが、それは追わない理由にはなりません。まず追う。そのうえで、記録がお客様側の事実と突き合わされる状態を作ってください。


営業の行動管理でお困りなら

「どこまで行動量を追うべきか」「記録が実態と合っているか不安」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。

HubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援した代表が、初回のご相談から定着まで一貫して担当する体制で、自社の営業プロセスに合わせた行動量のトラッキング設計をお手伝いします。

支援内容はサービス一覧をご覧ください。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。

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