営業マネージャーが毎週見る数字|4つで足りる理由

営業マネージャーが毎週見る数字|4つで足りる理由

岩間悠一

岩間 悠一

元HubSpot Japan カスタマーサクセスマネージャー/Hareka合同会社 代表

200社以上のHubSpot導入を支援。現在はHubSpotコンサルタントとして独立。CRM導入から活用定着・AI連携まで一気通貫で支援しています。

営業マネージャーのダッシュボードを見せてもらうと、よくこういう状態に出会います。

レポートが30個並んでいるのに、実際に見ているのは3つ。

作った当初は、どれも必要だと思って作ったものです。しかし毎週の会議で開かれるのは、いつも同じ数枚だけ。残りは誰にも見られないまま、ダッシュボードに並び続けています。この状態は、多くの会社で起きています。

筆者はHubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援してきました。この記事では、営業マネージャーが毎週見るべき基本の数字と、案件の異常を見つけるダッシュボード、そしてレポートを増やしすぎたときに起きることを書きます。


1. どの会社でも見るべき基本の数字は4つ

業種や商材が違っても、営業マネージャーが見るべき基本の数字は4つです。

数字1:目標との差分

今期の目標に対して、現時点でどれだけ足りていないか。あるいは超えているか。最初に見るのはこの数字です。 差分が分かれば、残りの期間で何をどれだけ積み上げる必要があるかが決まります。

数字2:商談発生から成約へのコンバージョンレート

発生した商談のうち、どれだけが成約に至っているか。この数字が分かれば、目標との差分を埋めるために、あとどれだけ商談が必要かを逆算できます。

数字3:商談数

目標との差分と、コンバージョンレート。この2つから逆算した必要な商談数に対して、今どれだけの商談があるか。足りなければ、商談を増やす動きが必要です。

数字4:手元のアクション数

コール数、ミーティング数など、担当者が今動かしているアクションの数です。商談は、アクションの結果として生まれます。商談数が足りないとき、どこから手を打つべきかは、この数字に表れます。行動量をどこまで細かく追うべきかは、営業の行動量をCRMでどこまで管理するか|空報を防ぐ線にまとめています。

4つは独立していません。目標との差分を、コンバージョンレートと商談数で分解し、その商談を生むアクション数まで下ろす。 上から順に見れば、何が足りないのか、どこに手を打つべきかが一本の線でつながります。

これらの数字を正しく出すには、商談ステージの定義が揃っている必要があります。ステージの設計については、商談ステージの設計|主観をなくす条件と増やしすぎない線にまとめています。見込みの数字を当たるものにする方法は、フォーキャストが外れる理由|精度を上げる3つの必須項目にまとめています。

経営者は、この4つのうちどこまでを見ればいいのか。マネージャーとの違いは、経営者がダッシュボードで見るべき数字|マネージャーとの違いにまとめています。


2. アラート系ダッシュボード:レッドフラグだけを表示する

4つの数字とは別に、用意しておくと効くのがアラート系のダッシュボードです。

  • 30日間アクションがない案件
  • 30日間同じステージに滞留している案件

こうした「レッドフラグ」となる案件だけを表示するダッシュボードを用意すると、確認しやすくなります。 数百件の案件一覧から問題のある案件を探すのではなく、問題のある案件だけが並んでいる状態を作るということです。

何をもってアラートとするかは、ビジネスの特性やリードタイムによります。 30日という数字はあくまで例です。

そして、このダッシュボードにはもう1つの役割があります。「現場にこういう状態を作ってほしくない」という強いメッセージになることです。アクションのない案件、動かない案件がダッシュボードに名前付きで並ぶ。それ自体が、現場に対する基準の表明になります。


3. 滞留案件の管理:誰がどう動くかまで決める

滞留案件については、2つのことを決めます。

1つ目は、何日で警告を出すか。 これはリードタイムに応じて、会社ごとに決めます。リードタイムが長い商材で短い日数を設定すれば、正常な案件までアラートに並びます。短い商材で長い日数を設定すれば、手遅れになってから気づきます。

2つ目は、誰がどう動くか。 滞留状況を把握するだけでは、案件は動きません。アラートに上がった案件について、誰がいつまでに何をするのか。これをマネージャーが管理することが重要です。 ダッシュボードは状況を見せる道具であって、案件を動かすのはマネージャーの管理です。これらの数字を使った週1回の会議の進め方は、週1回のパイプラインコールの回し方|形骸化させない設計にまとめています。


4. 実際の事例

筆者が支援した企業では、製造業向けソフトウェアのコンサルティング会社(従業員200名以上)が、Salesforce Service CloudからHubSpot Service Hubへ移行しました。60日間・全6回の支援の中で、テンプレートレポートの活用からカスタムレポートの作成方法までをレクチャーし、現状を数字で把握できる状態を作っています。

→ SalesforceからHubSpotへ――60日でライセンス費用50%削減

HubSpotでのレポートの作り方そのものは、HubSpotレポートの作り方|テンプレート→AI→カスタムの順にまとめています。


5. やりすぎると壊れるケース:指標を増やしすぎる

ここが、この記事で最も伝えたいことです。

指標を増やしすぎた、細かすぎるレポートは、ダッシュボードを壊します。

大量のレポートが並んでいても、現場が見ているのは全体の1/10程度。冒頭の「30個並んでいて、見ているのは3つ」は、まさにこの状態です。これは多くの会社で起きています。

レポートが多すぎると、2つのことが起きます。

  • 現場の混乱を招く:どの数字を見て動けばいいのかが分からなくなる
  • 見るべき数字のフォーカスがぶれる:本来見るべき4つの数字が、他のレポートに埋もれる

レポートは、作るのは簡単で、消すのは後回しにされます。だから放っておくと増え続けます。定期的なレポートのクリーンアップが必要です。 見られていないレポートを消し、基本の4つとアラートに絞り直す。この作業を、運用の一部として組み込んでください。

作ったダッシュボードが見られなくなる流れは、HubSpotそのものが使われなくなる流れと同じです。HubSpotを導入したのに誰も使わなくなる理由と解決策も参考にしてください。


6. やるべきケース・やりすぎると壊れるケース

4つの数字とアラートに絞るべきケース

  • ダッシュボードに多くのレポートが並んでいるが、見ているのは一部だけ
  • 会議のたびに、どの数字を見るかが変わる
  • 動いていない案件に、気づくのが遅れている

やりすぎると壊れるケース

  • 気になる切り口が出るたびに、レポートを追加している
  • 一度作ったレポートを、一度も消したことがない
  • アラートの日数を、リードタイムと関係なく決めている

よくある質問(FAQ)

Q. 営業マネージャーが最初に作るべきダッシュボードは何ですか?

A. 目標との差分、商談発生から成約へのコンバージョンレート、商談数、手元のアクション数(コール数、ミーティング数など)の4つを並べたダッシュボードです。そのうえで、30日間アクションがない案件や、30日間同じステージに滞留している案件など、レッドフラグの案件だけを表示するダッシュボードを別に用意すると確認しやすくなります。

Q. 滞留案件の警告は何日にすべきですか?

A. リードタイムに応じて会社ごとに決めます。一律の正解はありません。ビジネスの特性とリードタイムに照らして日数を決め、アラートに上がった案件について誰がどう動くかを、マネージャーが管理してください。

Q. レポートが増えすぎたときは、どう整理すればいいですか?

A. 見られていないレポートを消し、基本の4つの数字とアラート系ダッシュボードに絞り直します。大量のレポートが並んでいても、現場が見ているのは全体の1/10程度という状態は多くの会社で起きています。定期的なクリーンアップを運用の一部に組み込んでください。

Q. アクション数(コール数やミーティング数)は管理すべきですか?

A. 管理すべきです。商談はアクションの結果として生まれます。目標との差分を、コンバージョンレートと商談数で分解し、その商談を生むアクション数まで下ろすことで、どこに手を打つべきかが分かります。


まとめ:4つの数字と、レッドフラグだけ

判断軸は1行です。毎週見るのは基本の4つとレッドフラグだけにし、それ以外は定期的に消すこと。

レポートは増やすほど見られなくなり、見るべき数字がぶれます。目標との差分、コンバージョンレート、商談数、アクション数。この4つを上から順に見れば、何が足りず、どこに手を打つべきかは一本の線でつながります。


営業ダッシュボードの設計でお困りなら

「どの数字を見ればいいか整理したい」「増えすぎたレポートを片付けたい」——判断に迷う場合は、Harekaにご相談ください。

HubSpot JapanのCSMとして200社以上を支援した代表が、初回のご相談から定着まで一貫して担当する体制で、マネージャーが毎週使うダッシュボードを一緒に設計します。

既に作ったダッシュボードが見られなくなっている場合は、HubSpot再活用・定着支援もご覧ください。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。

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